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鬼ヶ瀬塚村
第29章 典子
『僕が…?一体いつ?』

訊いてみても彼女は赤くしおらしくなるばかりだ。

『何の話をしているの?』

『…た…田中さんだけじゃっだ…わたじに…わ…わ…』

典子ちゃんの顔がみるみる茹でタコのように真っ赤になっていく。

『わ…笑いがげで…ぐれだんは………田中さん…だけじゃ…』

僕は相変わらず間抜けにポカーンと典子ちゃんを見上げていた。
笑いかけた?いつ?

『ここの先で…すれ違っだ時………優しく…わたじに………わたじに笑って…く…れだ…』

あれは…意識して笑ったものじゃない。

『それに…軒先の裏の……裏…の…水瓶の所…でも………し…し…心配しで…ぐれだ…』

典子ちゃんは小さな唇をまるで桜貝のようにすぼめて続ける。

『わだじ…人に…親切に………された事…なぐで………う…う…嬉じぐで………た…田中さん…見ると………この辺りが…苦しく…なるっぺ』

典子ちゃんはそう言って赤いスカーフの結び目がある胸元を押さえた。

『わだじ…病院…行っだ方が…ええがな?胸が…苦しいんだ…っぺ…』

こ、これは…。
僕はたじろいだ。
たった2~3言葉を交わしただけじゃないか。
少し怪我を気にしただけじゃないか。

典子ちゃんは完全に恋する少女の顔をしていた。
参ったな…。
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