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鬼ヶ瀬塚村
第29章 典子
『兄ぢゃんに教えでぐれっで頼んだらブン殴られだ…オレも白い液体見でみてぇよ』

やれやれ、18歳になろうともいう娘が性行為や妊娠の仕組みを知らないとは…。

『優子からは出ないよ、男が出すんだよ』

『えぇッ?オレがらは何も出ないのが?』

『いや…出るには出るけどさ…』

参ったぞ。
面倒な話になって来たなと思った。
余計な事を言えば無邪気な優子の事だベラベラと周りに吹聴し話す事間違い無しだ。

『まぁ、それは赤神…?をしてくれる相手に聞けば良いよ』

『えーッ母ぢゃんも父ぢゃんオレば結婚ずるまで赤神は知らんで良いっで言うんだっぺよぉ、オレが赤神覚えたら年中休まず腹が膨れでるって…よぐわがんね事言うんだっぺよ』

『………』

『うんと小せぇ時に兄ぢゃんとよぐ風呂入っだげんどよ、兄ぢゃんよりノブのがでっがいな』

優子はニヤニヤ笑う。

『もうわかった…わかったから、ゆっくり入浴させてよ?』

僕が懸命に頼むと優子はようやく折れたのか立ち上がった。

『仕方ねぇっぺなぁ、はよぉ出てごいよ?今夜ば鬼神祭じゃ、肉がねぇのば残念だげんどな』

優子はニヤニヤしたままやっと行ってくれた。
純粋過ぎるが故に無知で脆い、それが優子なのだと思った。
同世代の少女達とは違った世界を見ているのなら、少し羨ましい気がした。
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