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鬼ヶ瀬塚村
第30章 鬼神祭
湯船に漬かり、身体に染み込んだ汚れを洗い流しながら僕は様々な事を考えた。

この日常を重ねていく事が僕の生きる道なのだと。
1日1日を生きていると実感しながら生きたかった。
それが今日という1日はどうだったろうか?

ジワジワと空をオレンジ色にし始めた太陽を見詰めた。

朝から田舎を案内して貰い、一郎さんの手伝いで奴奴の車を清掃した。
そして箱に赴き今まで生きて来て一度だって見た事が無い光景を目の当たりにした。
涙を流して何度嘔吐したか。
和幸を真理子さんとあやして幸せな時間が流れるのを確かに感じた。
達弘さんと病院へ行った。
泣き喚く彼に途方に暮れた。
そして汗をかきながら太陽の日に焼かれつつ少女達と掃除をした。

なんて濃い1日だろうか。
一つ一つの行動にきちんと意味がある。
動き、考え、呼吸する事に意味があった。

僕は何も悪い事はしてい無い。
生きているのだ。
生きていいのだ。

僕は過去に一度だけ首を吊って自殺してしまおうと考えた事がある。
そんな僕からすれば鬼ヶ瀬塚村の全ては僕の生に繋がっている気がした。

東京にはなかったこの存在を許されている感覚。
僕は行動していた。
これが人生の1日なのだと思った。

時間がただ過ぎる事は生きる事では無い。
何かをする1日を積み重ねたのが生きる事じゃ無いだろうか?
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