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鬼ヶ瀬塚村
第30章 鬼神祭
『荒岩に入れる事を村人みんなは猛反対だったば、典子の傷を手当でじでやろうど横山先生のどこ連れで行っだら背中一面に"鬼の仔"じゃ。みんな不吉じゃ言うで、最初ごぞ典子ば助げようどしてだげんどよぉ、手のひら返して離れでいっだんだ。じっちゃんと父ぢゃんは典子はオレと同い年だがらよ、お目付け役にいいんでねぇがって言うでオレ達は姉妹みだいに育っでぎだんだ』

『そうだったんだ…典子ちゃんは普段どの部屋にいるの?』

『………牛舎の納屋だ』

『え…』

『べこどん達と寝てんだ…荒岩がいくら家に招き入れたがっでも村人どもは猛反対だ。村が滅ぶだどが馬鹿げどる事を罵る奴もいる』

『そんな…可哀想じゃないか?』

『んだ、だがらよ…オレ、昔はよく牛舎の納屋に忍び込んでよ典子と一緒に寝だりじでだんだ。だけんど一郎のおっちゃんに"巫女になる娘が危ない事ずるな"って…物凄く怒られだんだ…オレはみんなが好きだ…だげんど典子に対する時のみんなば、ほだっぺ、大きれぇだ』

優子はそう淡々と話す。

ひぐらしの鳴き声が余計に感傷を誘う。

『真理子さんが村人を説得出来ないかな?あまりにも酷すぎるよ』

『無理だっぺよ、ノブ…』

『どうしてッ?』
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