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第4章 荒岩一族との初対面

真理子さんは睨み付けるように僕を見下ろしていた。

真理子さんの睨みは僕は心底苦手だ。
彼女は雛人形のような整った顔立ちだった。
そのつり目で大きな目が無条件で僕を捉えてギュッと更につり上げられると生きた心地がしない。

今で言うところのオーラや目力なのかもしれないが、彼女の刃物のようなそれは逸脱している。

『真理子さん…う…うん…わかったよ………吾郎さん、ありがとうございました。一郎さんも今日はお迎えにまで時間頂いて…また夜に改めて皆さん揃いましたら挨拶と…えっと…つまらない物ですが東京からの手土産をお渡ししたいと思います…』

僕の言葉は空中を漂い壁にぶつかり消えていった。

何か僕がここにいると都合が悪いのだろうか？みな沈黙だった。

真理子さんも一郎さんも吾朗さんからも返事はなく、僕は途方に暮れて曖昧な笑みを浮かべながら立ち上がった。

それを確認して真理子さんが障子をピシャリと開ける。
力が強すぎたのか、障子上のらんまがカタカタと音を立てた。

『一郎さん、吾郎さん…では失礼します』

僕は軽く腰を屈めて頭を下げ、のっしのっしと廊下を歩く真理子さんの後を追った。

初めて自分の足が痺れている事に気がついた。