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鬼ヶ瀬塚村
第5章 宗二
用意された客室のふすまを真理子さんが力一杯開けた。
木材と木材が摩擦を起こして嫌な音がする。
立派な客室だった。
貸部屋として提供しても文句の一つと零れ無いだろう。
『ノブッ!!』
突然真理子さんが僕に抱き着いた。
どうしたのかと肩を抱き顔を見ようとするが彼女は拒んだ。
それどころかますます力を込めた。
まるで僕に絡まり付く様にして。
『真理子さん?どうしたの?』
『………』
真理子さんは小さく震えていた。
泣いているのだろう。
僕は真理子さんの甘い香りがする髪に顔をうずめながらポンポンと優しく背中を撫でてやった。
すると緊張が解けたのか真理子さんはまるで火が点いたように泣き出した。
濁音の嗚咽が僕の身体の中にも響く。
心臓や肺が胃袋が…内部を真理子さんの泣き声で振動させる。
こんな風に真理子さんは時々癇癪を起こして泣くけれど、大抵は仕事のストレスや他愛もない理由だ。
突然意味もなく泣き出す真理子さんなんて見た事がない。
『真理子さん?…真理子さんってば』
もう一度彼女の背中をポンポンとした。
『ごめん…ごめんね、ノブ…』
ようやく真理子さんが身体を放してくれた。
木材と木材が摩擦を起こして嫌な音がする。
立派な客室だった。
貸部屋として提供しても文句の一つと零れ無いだろう。
『ノブッ!!』
突然真理子さんが僕に抱き着いた。
どうしたのかと肩を抱き顔を見ようとするが彼女は拒んだ。
それどころかますます力を込めた。
まるで僕に絡まり付く様にして。
『真理子さん?どうしたの?』
『………』
真理子さんは小さく震えていた。
泣いているのだろう。
僕は真理子さんの甘い香りがする髪に顔をうずめながらポンポンと優しく背中を撫でてやった。
すると緊張が解けたのか真理子さんはまるで火が点いたように泣き出した。
濁音の嗚咽が僕の身体の中にも響く。
心臓や肺が胃袋が…内部を真理子さんの泣き声で振動させる。
こんな風に真理子さんは時々癇癪を起こして泣くけれど、大抵は仕事のストレスや他愛もない理由だ。
突然意味もなく泣き出す真理子さんなんて見た事がない。
『真理子さん?…真理子さんってば』
もう一度彼女の背中をポンポンとした。
『ごめん…ごめんね、ノブ…』
ようやく真理子さんが身体を放してくれた。