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鬼ヶ瀬塚村
第30章 鬼神祭
『それが、代わりの人を指揮にはしてるんだけれど…みんな不安がってる』

真理子さんは腰に両手を当てて溜め息をついた。

『村一番のワルで忌み嫌われないように太鼓の達人になるよう仕込んでやったって言うのに…何やってるのよ、アイツは…』

『探したいんだけど、心当たり無いかな?』

『あいつは基本的にウロチョロするからねぇ、どこにいるやら…そのうちいっちゃんが見つけて連れて来てくれるんじゃ無いかな?』

真理子さんは悠長な事を言う。

『でも、取り返しのつかない事になってるかも…』

『大丈夫よ、あいつ私と同じで身体だけはタフだから。内心はチキンだけどね。探すなら勝手に探せばいいけど、村人になって間もないあんたが1人で行動するのを快く思う人間は少く無いわよ』

『逃げたりしないよ』

『そうは言っても頭の硬い連中はヒヤヒヤしてる筈だよ?』

真理子さんに畳み掛けられ僕は何も言えなくなってしまった。

『少し…周りを見たらすぐに戻るよ』

『そうね、それがいいと思うわ。じゃあ上で待ってるわね』

真理子さんは奴奴をまるで召し使いのように脇に引き連れて歩いて行った。

僕は反対側の道をウロウロ歩き始めた。
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