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鬼ヶ瀬塚村
第31章 一人だけ居無くなる
『お義父さん…宗二さんは大丈夫なの?』

僕は少女の黒髪を黒く塗りつぶしつつ、片手でバニーちゃんの乳首を描きながら真理子さんに訊ねた。

真理子さんはしばらく無言だったが、原稿用紙に目を向けたままポツリと答えた。

『大丈夫よ、今日ね占いしたのよ。狩人を決める大切な占い…』

『ああ、一郎さんから聞いたよ。何人だったの?』

僕は真理子さんの答えをドキドキしながら待った。

狩人の数が少なかろうが多かろうが腕の立つ狩人がいなければ数には意味がない。

むしろ数が多い中に村一番の名手である一郎さんが含まれていれば、宗二さんが軽症で済む確率はうんと上がる気がした。

『今回は…6人よ』

微妙な人数だった。

『けど、安心して?いっちゃんの名前が占いの結果に上がっていたわ。だからきっといっちゃんの事だから軽いかすり傷くらいは狙えるはずよ』

僕は安堵から胸を撫で下ろした。
そうか、村一番のマタギである一郎さんが選ばれたなら宗二さんは大丈夫だ。

『良かったね…』

僕が言うと真理子さんも大きく頷いた。

『いっちゃんは昔からくじ運が悪い性分だったから、今回は大逆転ね。さっきお父さんにも伝えて来たわ』
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