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鬼ヶ瀬塚村
第31章 一人だけ居無くなる
『ああ、疑念ば日に日に膨らんだっぺよ…みんなに和幸の姿ば見せるんが辛ぐなっでぎどっだ』

なるほど、それだから達弘さんは頑なに和幸を僕や真理子さんに見せたがらなかったのか。

『あいづはよ…和幸ば………』

達弘さんは"へへっ"と自嘲し、灰皿に煙草を静かに寝かせて続けた。

『あいづは…おっぢゃんの子だ』

『………』

僕も真理子さんも弘子さんも邦子さんも吾郎さんもカヤさんも黙っていた。
ただ、それぞれが彼の言葉を懸命に理解しようとしているのが目に見えてわかった。

『ど…どうして…いっちゃんが和幸の父親だって…わかるのよ』

真理子さんが一生懸命声を振り絞りながら言う。

『んだな…理由は3つある』

達弘さんは左手の人差し指と中指、そして薬指をピンと立たせた。

『まず1つ目は明らかに見た目じゃった。俺も紗江も一重目蓋で直毛だ…だげんど和幸を見でみろ…あいづはでっけぇ目ん玉にクルクルの癖っ毛じゃ』

確かに和幸は達弘さんの黒々とした髪とは違い、どちらかと言えば一郎さんのような薄茶色のウェーブかかった髪質だ。

『2つ目はこれじゃ…以前な早朝に紗江の姿がながっだがらよ、探しに行っだんじゃ』
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