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鬼ヶ瀬塚村
第32章 二人だけいなくなる
『さぁ、行ってちょうだい。あなたにまで泣き顔を見せたくはないわ』

『わかりました』

『達弘の事だわ、きっとあそこに居るはずよ?』

『あそこ?』

『ええ、小学校よ。あの子が卒業した村にたった一つの小学校…あの子はね、いつも怒られてゲンコツ貰ったり、真理子に意地悪されると決まって小学校の校庭で独りで遊んでいたのよ。場所はとっても簡単、玄関から門を出て左手を進んでそのまま突き当たりを右よ、ね?簡単でしょう?』

『わかりました、行ってみます』

『宗二さんの自転車を借りてお行きなさい。玄関にある錆びたやつよ』

僕は弘子さんに会釈し玄関を抜けた。
錆びだらけでカゴがボコボコに歪んだそれを見て、なんだか急に胸が痛くなった。

宗二さんを連想したからだ。

色んな人達の想いが誰かに繋がっていて、影響を及ぼすのだと。
僕の漫画しかり、宗二さんの家族を想う気持ちしかり、ここを訪れた奴奴のTSUNAしかり、気持ちを言えなかった紗江さんしかり…巧妙に絡まり、いい意味でも悪い意味でも人は誰かと繋がっているんだ。

僕は自転車に跨がった。

僕が生きている限り、誰かは幸せになり、誰かは不幸になるんだ。

僕はペダルを力強く踏んだ。

僕の幸せも不幸も誰かが作った物なんだ。
僕は…独りなんかじゃ無かったんだ。
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