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鬼ヶ瀬塚村
第33章 恋
『痛い程…わかりますよ。僕も達弘さんと同じですから』
『同じ?』
達弘さんが眉毛をギュッと寄せた。
『一本、貰えますか?』
僕は達弘さんの分厚い手の中のラッキーストライクを指指した。
達弘さんは箱を軽く上下に振り、煙草を一本取ると僕に手渡す。
『煙草、吸わねんじゃねのが?』
達弘さんがライターをこちらに向けてくる。
その炎の熱を感じながら、僕は煙草の先を赤い炎に近付け思い切り吸い込んだ。
懐かしい、大学以来だ。
この身体の血管が収縮して脳がクラクラする感じ…久しぶり過ぎるせいか冷や汗が出た。
『僕はケントが好きだったんですよ』
『ケント?』
『はい、煙草の銘柄ですよ。緑色の箱の…メンソールのやつです』
『なかなか渋いの吸ってたんだなッ?』
達弘さんがニヤニヤしながら言い、自身も新たに一本吸い出した。
僕が吐き出す副流煙、達弘さんが吐き出す副流煙が太陽に照らされて淡い紫色に見えた。
それが踊りながら空中へと掻き消えて行く。
『せんせ』
『ん?』
『恋ってなんなんだろな。幸せなはずなのにおっがねぇ…幸せだとあまり思わん…いづも嫌われてねぇがビクビクするだけだっぺよぉ』
『同じ?』
達弘さんが眉毛をギュッと寄せた。
『一本、貰えますか?』
僕は達弘さんの分厚い手の中のラッキーストライクを指指した。
達弘さんは箱を軽く上下に振り、煙草を一本取ると僕に手渡す。
『煙草、吸わねんじゃねのが?』
達弘さんがライターをこちらに向けてくる。
その炎の熱を感じながら、僕は煙草の先を赤い炎に近付け思い切り吸い込んだ。
懐かしい、大学以来だ。
この身体の血管が収縮して脳がクラクラする感じ…久しぶり過ぎるせいか冷や汗が出た。
『僕はケントが好きだったんですよ』
『ケント?』
『はい、煙草の銘柄ですよ。緑色の箱の…メンソールのやつです』
『なかなか渋いの吸ってたんだなッ?』
達弘さんがニヤニヤしながら言い、自身も新たに一本吸い出した。
僕が吐き出す副流煙、達弘さんが吐き出す副流煙が太陽に照らされて淡い紫色に見えた。
それが踊りながら空中へと掻き消えて行く。
『せんせ』
『ん?』
『恋ってなんなんだろな。幸せなはずなのにおっがねぇ…幸せだとあまり思わん…いづも嫌われてねぇがビクビクするだけだっぺよぉ』