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鬼ヶ瀬塚村
第33章 恋
女って奴はとことん難しい生き物だ。
まるで母親のように世話を焼き、愛情深い。
辛くても嫉妬があっても笑顔の下に隠してしまう。

僕の大学時代の恋愛は無残なものだった。

そう、真理子さんが言っていた"つまらない女の子"全てが世界中の女性だと思っていたから。

女性はみんな分厚い脂肪におおわれた乳房を持っている。
その分厚さゆえに心の奥底をうまくさらけ出せない。

女性達の心が見えない。

今なら、可愛いバニーちゃんが描けそうだ…僕はそう思った。

恋愛は素晴らしいのに、どうしてこんなに悲しむんだろう。

『あれじゃ』

達弘さんが後方から太い腕を伸ばして小さな建物を指差した。

道沿いにある木製の小屋だ。

『あれが駄菓子屋さんですか?』

『んだ、止めろッ』

僕は自転車のブレーキをギュッと握りこんだ。

自転車を店先に立て掛け、僕は中を覗きこむ。

木の枠組みでますが作られ、中には色とりどりの飴やガムが並んでいた。

天井からは懐かしい組立式の紙飛行機セットやスーパーボールが貼り付いた台紙、ヨーヨーや竹トンボがぶら下がっていた。

『おい、ババァッ!元気しでっがッ?』

達弘さんがえらく年代物のレジ奥にある暖簾に向かって声をかけた。
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