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鬼ヶ瀬塚村
第33章 恋
『おい、ババァ…どうした?病気なのが?』
達弘さんは女性のすぐ側に正座した。
僕も彼の隣に正座する。
『そんなお上品で可愛いものじゃないわ。もう身体が辛いんだよねぇ…年だもの』
『ババァまだ若いじゃねぇが、俺のじっちゃんの1つ年上だろ?今年80か?』
『もう80になったわよ、先月誕生日…5月の20日よ』
『言うでぐれりゃあ祝っでやっだのによ』
『毎年そう言って結局は何もしてくれた事はなかったじゃないか…それより、そちらの人は………あら、やだ………あなた……吾郎ちゃんの若い頃に瓜二つだね』
『田中と言います』
『ババァ、ノブさんは姉ぢゃんの婿どんになる人だっぺよ』
『真理子が…もうそんなになるの…私は静江、もうここに住んで………何年だったかな…60年以上は住んでいるわ』
静江さんはそう話し、上体をゆっくりと起こした。
痩せ細った身体に寝巻きの浴衣が貼り付くようにくっついている。
隙間からは骨の浮いた鎖骨が見えた。
『で?ババァに何しにきたのかしら?』
静江さんは少し咳き込み、そしてニコリと笑みを浮かべる。
若い頃は相当な美人だったのだろう、目鼻立ちに面影が残っている。
『別に用ばねぇよ、たまたま立ち寄っただげだ』
達弘さんは女性のすぐ側に正座した。
僕も彼の隣に正座する。
『そんなお上品で可愛いものじゃないわ。もう身体が辛いんだよねぇ…年だもの』
『ババァまだ若いじゃねぇが、俺のじっちゃんの1つ年上だろ?今年80か?』
『もう80になったわよ、先月誕生日…5月の20日よ』
『言うでぐれりゃあ祝っでやっだのによ』
『毎年そう言って結局は何もしてくれた事はなかったじゃないか…それより、そちらの人は………あら、やだ………あなた……吾郎ちゃんの若い頃に瓜二つだね』
『田中と言います』
『ババァ、ノブさんは姉ぢゃんの婿どんになる人だっぺよ』
『真理子が…もうそんなになるの…私は静江、もうここに住んで………何年だったかな…60年以上は住んでいるわ』
静江さんはそう話し、上体をゆっくりと起こした。
痩せ細った身体に寝巻きの浴衣が貼り付くようにくっついている。
隙間からは骨の浮いた鎖骨が見えた。
『で?ババァに何しにきたのかしら?』
静江さんは少し咳き込み、そしてニコリと笑みを浮かべる。
若い頃は相当な美人だったのだろう、目鼻立ちに面影が残っている。
『別に用ばねぇよ、たまたま立ち寄っただげだ』