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第34章 ５人のマタギ

『みんな、私からお願いがあるの』

真理子さんが、僕、吾郎さん、カヤさん、邦子さんを見渡しながら言う。

『どうか達弘を責めないでちょうだい…そりゃ私もいっちゃんが居ないのは悲しいし、とても寂しいわ…大切な叔父さんだったもの…年も近かったし…お兄ちゃんみたいだった…けどね、けど…達弘の気持ちもわかってあげて欲しいの…。あの子は今までたった1人で孤独と戦っていたんだから』

真理子さんが言うと一同はしばらく黙っていた。

『大丈夫…わかってるぺよ』

邦子さんが複雑な笑みで答えた。

『ああ、わがっどるば』

吾郎さんも堪えながら答える。

カヤさんは芋虫のようにうごめいた。

『みんな、ありがとう…いっちゃんの事は残念だけれど…達弘の事よろしくね。私の大切なたった1人の弟だから…』

皆頷いた。
僕は静かにちゃぶ台の下の真理子さんの手を握った。

彼女も力強く握り返し、僕に微笑みを浮かべる。

『とにかく今日は大忙しよ、男も女もみんな聖狩りに向けて支度してちょうだい。ノブ、勿論あんたもよ？』

『………』

『まず、お父さんに白湯を持って行ってあげて。断食は昨日までだから…逃げる獲物には…体力がないと…』