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鬼ヶ瀬塚村
第34章 5人のマタギ
次の格子に"弐"と書かれた鍵を同じように差し込む。
カチャリッ

次は最後の格子だ。
僕は鍵の束から"参"の鍵を寄り分け、鍵穴に差し込み回した。

カチャリッと音が鳴り、格子戸を僕は左右にスライドさせて開く。

そしてふすまの中央にある鉄板の大きな南京錠に"罪"と書かれた鍵を差し込んだ。

硬い感触が指先に伝わる。
それをグッと回すと、南京錠はガコンッと外れた。

『宗二さん、信人です。入りますよ』

僕はふすまを開けた。

正面に鉄格子が厳重に並ぶ小窓があり、その光の中…畳中央に白装束の男が念仏を唱えていた。
まるでミイラのように痩せこけた手を合掌させ、数珠をジャラジャラ鳴らしている。
綺麗に刈られた頭は青く光り、彼が身体を軽く前後に揺らすたびに光を反射させていた。

『宗二…さん?』

僕は立ち尽くしたまま白装束の男を見下ろしていた。

男はブツブツ何か言い終わると、こちらに顔を上げた。
それは間違いなく宗二さんだった。
面影こそあるものの、肌は乾燥し虫に噛まれた跡がいくつかあった。
少しやつれ目の周りは黒々としている。

乾き、薄く皮がめくれた唇が微かに動いた。

『…く…』

『宗二さん?』

僕は宗二さんに歩み寄って、恐る恐る座った。
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