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鬼ヶ瀬塚村
第34章 5人のマタギ
『…の………ん……み………』
僕は彼の口元に耳を寄せた。
ひどい口臭がした。
何も食べずに胃が荒れてしまっているのだろう。
耳を寄せ、意識を鼓膜に集中させる。
『の…ぶと……く………ん…み…ず……を…』
そこで僕は慌てて水が入った湯飲みを持ち上げた。
彼の背中を支えながら、そっと湯飲みを口元に近付ける。
ゴクリッ…ゴクリッ…ゴクリッ…
ハッキリと聞こえる音を立てながら宗二さんが水を飲む。
まるで虫のように突き出た喉仏が上下していた。
『…ッ!かっはッ!!ゲホッ……ゲホッ!!』
『大丈夫ですか!?』
僕は手元の手拭いを彼の口に当て、背中を撫でた。
宗二さんはしばらく"ぜぇぜぇ…"と気管支を鳴らしていたが、ようやく落ち着いたらしく"はああぁ…"と深い息を吐いた。
『宗二さん…』
『はぁ、助かったよ信人くん。水も飲んではいけなかったもんだから声が出なくてね。情け無い所を見せてしまった』
『そんな…大丈夫ですか?真理子さんが白湯と漬物を用意してくれました。食べてください』
『…そうか、やはり今日にするのか』
『はい…』
『一郎くんは…残念だったね。真理子から聞いたよ…だからてっきり延期になるかと考えていたんだ』
僕は彼の口元に耳を寄せた。
ひどい口臭がした。
何も食べずに胃が荒れてしまっているのだろう。
耳を寄せ、意識を鼓膜に集中させる。
『の…ぶと……く………ん…み…ず……を…』
そこで僕は慌てて水が入った湯飲みを持ち上げた。
彼の背中を支えながら、そっと湯飲みを口元に近付ける。
ゴクリッ…ゴクリッ…ゴクリッ…
ハッキリと聞こえる音を立てながら宗二さんが水を飲む。
まるで虫のように突き出た喉仏が上下していた。
『…ッ!かっはッ!!ゲホッ……ゲホッ!!』
『大丈夫ですか!?』
僕は手元の手拭いを彼の口に当て、背中を撫でた。
宗二さんはしばらく"ぜぇぜぇ…"と気管支を鳴らしていたが、ようやく落ち着いたらしく"はああぁ…"と深い息を吐いた。
『宗二さん…』
『はぁ、助かったよ信人くん。水も飲んではいけなかったもんだから声が出なくてね。情け無い所を見せてしまった』
『そんな…大丈夫ですか?真理子さんが白湯と漬物を用意してくれました。食べてください』
『…そうか、やはり今日にするのか』
『はい…』
『一郎くんは…残念だったね。真理子から聞いたよ…だからてっきり延期になるかと考えていたんだ』