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鬼ヶ瀬塚村
第34章 5人のマタギ
空になった椀と湯飲みを盆に乗せ、僕は楼閣を後にした。

宗二さんはあんなに身体が小さかっただろうか1日2日食べないで人はあんなに変わってしまうのだなと思った。

眠る事もままならず、開け放たれた窓の隙間からは蚊がやってきて彼の身体中を挿した事だろう。

そうまでして鬼神に仕える村人の心理を少しでも理解したい。

僕は真理子さんに頼んで弘子さんの書斎に行くと決めた。

盆を持ち、居間に戻ると真理子さんと吾郎さんが何やら話し合っている。

5人のマタギについて話し合っているようだった。

僕の存在に気付き、真理子さんが顔を上げる。

『おかえり、お父さんきちんと食べてくれた?』

『え…うん』

僕は嘘をつきながら頷いた。

『じゃあ、それは流しに置いておいて?後で私洗っちゃうから』

『うん…ねぇ、それ何?』

僕は真理子さんと吾郎さんに挟まれるようにしてちゃぶ台に広げられた和紙を見下ろした。

赤い点が12個書かれている。
その中に6~7個のバツ印が小さく書き込まれているやつだ。
まるで子供の頃に書いた無意味な宝の地図みたいだ。

『ああ、これ?これは今回の聖狩りの配置表よ、見取り図なのよ』

配置表?
僕は真理子さんの隣に座りこみ、和紙を覗きこむ。
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