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鬼ヶ瀬塚村
第6章 晩餐
と教えてくれた。

『小さな診療所はあるんだけど、年寄りばかりだからなかなか行けないしね。薬だとか包帯だとかは結構希少価値が高いのよ、だからうちみたいに漢方作る家も多いわ』

『そうなんだ』

僕は吾朗さんに塗ってもらった温泉の漢方を思い出した。

『多分2~3日したら来るわよ、眼鏡があればいいけれど』

『そうだね、結構辛いよ』

『はい、ごれが最後ねぇ!』

窪塚のおばさんが大きなお盆にご飯を盛った茶碗を載せてやって来た。
その後ろからは紗江さんが小さなお盆を手にして彼女に続く。

『あづいがらねぇ?』

窪塚のおばさんは、吾朗さんカヤさん真理子さん優子ちゃん、そして僕の前に茶碗を置いた。白くよく炊けた白米からは甘くて食欲をそそる香りがする。

『新米じゃないげんど、ええ米じゃよ』

おばさんは、笑って配膳していく。

『ほれ、邪魔だ』

紗江さんが僕の隣に来て不意に言った。僕は慌てて身をよじる。すると紗江さんは僕の前に野菜炒めと味噌汁を並べた。

『え…?』

『おめはこれ食え、うぢら自慢の牛肉だ』

野菜炒めの中には油を表面に浮かせた牛肉が混ざっていた。
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