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鬼ヶ瀬塚村
第6章 晩餐
『僕だけ別なの?』

目の前に置かれた野菜炒めとちゃぶ台の真ん中に置かれた焼き肉とを見比べながら僕は言った。

『もてなしじゃ、よそもん言うでも客人には変わらねぇがんな。あたしらは固くてまずぇ肉で客人には上等な肉よ』

紗江さんはそう言ってから、別のお盆に乗せた味噌汁をちゃぶ台へと配膳していった。

『なんだか気を使ってもらって申し訳ないなぁ…』

僕が呟くと

『気にしないで、ノブはお客さんなんだから。いいものを食べて貰いたいもの』

真理子さんがニッコリ微笑んで言ってくれた。

『おらッ!!力入れろばッ!!』

不意に廊下から達弘さんの声がした。

『あ、来た来た』

そう言って真理子さんは立ち上がり、ふすまを開けた。
僕は目の前の光景に腰を抜かしそうなくらいびっくりした。
達弘さん、一郎さん、そして宗二さんが何かを担いでいる。
みこし台のようなその絢爛な板の上には金箔を施した座椅子があり、その座椅子に老婆が座っていた。
丁寧に刺繍が縫い込められたチャンチャンコの間には水気を一切含まない林檎のような顔が埋もれていた。それは微動だにせず、焦点の定まらない濁った灰色の目で空中を見ていた。
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