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鬼ヶ瀬塚村
第6章 晩餐
『うっるせぇな、静がにでぎんのが?』

達弘さんが言いながら僕の隣の隣、つまり真理子さんの左隣へドカッと座った。
そしてパシッと乾いた音を立てながら煙草の箱をちゃぶ台に放り出し、中からよれた一本を出して火を点けた。

『姉さん連れでぐるわ』

汗をおしぼりで拭きながら一郎さんが再び廊下へと歩いていく。

『ほれ、ガキは麦茶だば。義姉ざんはビールか?』

紗江さんが優子ちゃんに自家製の麦茶を手渡す。

『私はいい、食べ終わったら少し仕事したいし』

『ごどいごど言うでねぇよ、たまにじか帰ぇって来ねぇんだがんら、だまには飲めや』

達弘さんが真理子さんのグラスに瓶ビールを注ごうとする。

『やめんか、達弘』

僕の目の前、ちょうど吾朗さんの右側に宗二さんが腰を下ろしながら止めに入る。

『おやぢもごどいな!?おめらづまんねぇな』

達弘さんは舌打ちしてから、瓶ビールをラッパ飲みして飲み干した。

『あー、また全部飲みよっだな。あたしも飲みだがったのに』

配膳を終えて紗江さんが達弘さんの隣に座った。

『ほれ、姉さん段差気をづげでぇ』

一郎さんの声がしてふすまがスルスルと開けられた。一郎さんにしっかりと腕と肩を抱かれて年配の女性が姿を現す。
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