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鬼ヶ瀬塚村
第6章 晩餐
女性と目が合った。
『あらあら…まぁまぁ、聞いでだげんど…これまたハンサムさんだねぇ』

女性は目を糸のように細めて笑みを浮かべた。そしてガタガタと震えながらではあるが一郎さんの腕から離れ、ゆっくりと優子ちゃんの隣に腰を下ろした。

『邦子伯母さんよ、お母さんのお姉さん』

真理子さんの紹介に僕は頭を下げる。

『初めまして。挨拶が遅くなりましたが田中と言います。ご迷惑をかけるかと思いますが、よろしくお願いします』

『あらあら…まぁまぁ…なんてご丁寧な方かしらねぇ、私は邦子と言いまず。この通り、あじ腰が悪ぐでね…見苦しいとごを見せました』

『そんな…』

『何もない不自由な田舎ですが、どうぞぐづろいでいっでぐださい』

邦子さんは柔らかく微笑んだ。彼女もまた左側の目蓋が三重だった。

『ん、みんなぞろっだね?』
暖簾を掻き分けて窪塚のおばさんがやって来た。
彼女はズカズカとちゃぶ台の周りを歩いてクニさんの斜め前に座った。

居間には僕、真理子さん、妹の優子ちゃん、弟の達弘さん、達弘さんの妻紗江さん、父親の宗二さん、叔父の一郎さん、伯母の邦子さん、そして吾朗さんカヤさん夫婦と曾祖母のクニさんと隣人窪塚さんが揃った。

『いっただっきまーす!!』
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