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鬼ヶ瀬塚村
第2章 出発から村人の出迎え迄
小気味良いエンジン音をあげながら真理子さんの愛車サーフが僕の目の前に停止した。

事務所に置いていたのを乗って戻ってきたのだ。

『ノブ、乗って』

真理子さんに促されて、大きなボストンバックと小さなボストンバックを抱えて僕は助手席に乗り込んだ。

『ごめんごめん、事務所からうちまでさ道混んでてさ、ノブ戸締りとかガス栓大丈夫だよね?』

『うん、大丈夫だよ』

『じゃあ、出すよ、忘れ物は?』

『多分ないかな…』

太い振動を帯びながらサーフが僕らのマンションから離れていく。

電話があってから6日目の今日、僕と真理子さんは車でおよそ高速を使っても6時間以上はかかる彼女の実家へと出発した。

普段用にと一昨年買った小さな軽に乗り、真理子さんが事務所にサーフを取りに行っていた早朝…僕は期待だとか不安だとかを募らせながら、蝉の鳴く中家を掃除していた。

真理子さんが家で仕事をする際の洋室、入り口には"何人たりとも侵入禁止!殺すわよ!?"と張り紙が…。

そこだけは掃除はせず、洗濯物も粗方片付け、台所のシンクのヌメリを取り、ガス栓を締め、家中の鍵をチェックした。
そしてサーフのエンジン音を聞き、僕は静かに玄関の鍵を閉めたのだった。

車は快適な温度に保たれていた。
6月は半ばなのに、今年も随分と東京は暑い。

ハンドルを握る真理子さんは時折僕をチラチラ見ながら"田舎だからね?"と何度も言っていた。

気が強く我儘でちょっと高飛車な彼女が実家を恥ずかしく思っている姿は少し可愛かった。

僕は幼少を神奈川の横浜で過ごし、父の転勤を機に東京の豊島区で育った。

鉄筋コンクリートだらけのドブ臭い池袋なんかが、当時の僕の遊び場所だったから…真理子さんの田舎が東北の奥地なもんで年甲斐もなく嬉しかった。

楽しみな気持ち半分、同時に不安もまた強かった。

同棲して数年はするのに、僕は相変わらず養われている立場。
真理子さんと僕の収入なんて天と地の差だ。

しかも真理子さんはとても美人だから、時折雑誌インタビューで綺麗なグラビアすら飾っている。

そんな真理子さんの腰巾着のような僕…彼女の両親はどう思うだろうか?

頭ごなしに交際を反対されるに違いない…まぁ、それも悪くはないか…。
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