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鬼ヶ瀬塚村
第6章 晩餐
僕は僕にだけ用意されたそれを食べ始めた。深い甘味のあるニンジンや白菜と炒められた牛肉は柔らかく、都会なんかじゃ何万と取られそうな程美味しかった。

程よい塩気が食欲を促し、白米と塩気が口の中で良い具合に絡み合った。

『美味しい!凄い美味しいよ!』

僕は真理子さんを見ながら言った。

『でしょ?野菜は新鮮な無農薬よ?それに牛肉は村の牛舎の子なの。いい種牛が入ってね、良い感じに霜降りなの』

真理子さんは奥歯でネチャネチャと焼き肉を噛みながら言った。

『真理子さん…その食べながら…喋るのは………』

『あら、ごめん』

真理子さんは肉が大好物だ。ハシを茶碗と焼き肉がドッサリ乗った皿へと忙しく往復させている。

『美味しいなぁ、幸せ!』

真理子さんは嬉しそうだ。僕もなんだか嬉しくなって真理子さんの横顔を見つめた。

彼女の目蓋は車を運転していた時のようにピクピク痙攣していた。

『真理子さん、疲れてるんじゃないの?』

『えー?そんな事ないわよ』

ガツガツガツ飢えた犬のように肉を頬張る真理子さん。

一同も無言に近い。ただただ、ガツガツとその胃袋へ肉や野菜や米を入れ続けている。
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