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鬼ヶ瀬塚村
第7章 少女の想い
『ノブ、おめには夢ねぇのか?』

『優子くらいの年の頃には夢もあったよ。一応叶ったけれどね』

『か~ッ羨ましいっぺなぁ!!』

『ねぇ、優子』

僕は彼女の名前を呼んだ。

『なんだ?』

その大きくてつり上がった目が僕を捉える。濁りも曇りも一切ない澄みきった目だ。

『TSUNAがどどだったって…どういう意味?』

『ん?だがらどどだよ』

『どどってどういう意味なの?』

優子の大きな目が僕を捉え続けている。
彼女が手にしていた花火が弱々しくなり、音もなく消えた。
優子の輝いていた目は黒い穴のように見えた。白目の中央に黒々とした穴があるのだ。その穴が僕を吸い込もうとしている。
深い深い穴だ。

月が雲から顔を出し、その穴は再び丸く輝き出した。

『どどってのはな…』

優子が言いかけた時だった。

『こんなとこにいたの?お父さんが庭で花火してるって言うから探したわよ』

と真理子さんが小走りで寄ってきた。

『仕事はいいの?』

僕は立ち上がる。優子も同じようにピョンッとジャンプして立ち上がった。

『うん、今日の分は粗方片付けたわ。全然足りないけど』
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