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鬼ヶ瀬塚村
第9章 違和感
忘れたはずの…封印されかけた記憶。
事実だけは今なお僕の胸の奥でくすぶっているけど、当時の状況が走馬灯のように蘇る。

………

少し若い真理子さんが僕に何かを笑顔で伝えている。とても嬉しそうだ。
彼女は片手で何か数字を数える仕草をしていた。

ああ…そんな顔をしていたな…。

漫画の原稿が散乱する中、今度は真理子さんが僕に何かを必死に訴えかけている場面へと変わる。
悲しみとも怒りとも言える複雑な顔で何度も手のひらを自分の胸元へ叩きつけていた。

まるで音の出ない壊れたビデオデッキだ。
記憶と書かれたビデオが再生されていく。
見たくも無いのに。

真理子さんは何度も僕にすがりつくように訴えかけてくる。

視界がフラリと高い位置に変わる。
どうやら僕は立ち上がったようだ。
そして玄関らしき扉が開け放たれ、僕はアパートの階段を降りていく。

そうだったな…昔は亀戸で小さなアパート暮らしだったな…。
風呂なんて共同だったな。

場面がまた変わる。
真理子さんが虚ろな表情で僕の前に立っている。

ああ…"あの日"に近付いていく…

真理子さんの唇が動いた。
何かをやはり僕に訴えている。
彼女は懸命に僕から理解を僕から肯定を貰おうと必死だ。

そして…

小さく
耳の中で
『嘘つきッ!!』
響き渡る真理子さんの声。ああ、そうだ…僕は嘘をついた。
彼女を裏切った…。

どうして今になって思い出すんだろう?
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