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あなたの胸の中で眠る花
第4章 再会

二階建ての小さいアパート。

「これで全部か?」
「うん、ありがとう」

真ちゃんはもうくたくたな様子で迷いなくベッドに倒れた。うつ伏せの状態で私を睨みつけた。

「感動の再会なのに扱き使いやがって」
「ちょうど引っ越しの時に帰ってくるんだもん」
「何がちょうどだよ、どうせ佳永子先生が余計なこと言ったんだろー?」

よく分かってらっしゃる。
でも本当に助かった。文句言いながらも結局手伝ってくれるし。私は温かいお茶を作り、テーブルの上に二つコップを置く。

真ちゃんはゆっくりと起き上がり、穏やかな笑顔を見せながら言った。

「心、卒業おめでと。ほれ、卒業祝い」

上着のポケットから小さな箱を取り出して、私の前に突き出す。

「え、くれるの?」
「うん」

遠慮気味に受け取って箱を開けると、かわいい猫がプリントされたキーケース。

「一人暮らしするっつってたから、鍵とか無くさないようにと思って」
「…ありがとう」

私はさっそく鍵に取り付ける。猫の表情がかわいい。

「んでさ、今日泊まっていい?今日つーか明日も」
「えっ、知り合いの人の所に泊まるんじゃなかったの?」
「まぁそうなんだけど…心が引っ越しの日だと思わなかったし…ほら、初めての一人暮らし不安だろ?用心棒してやるよ!」
「私は心配いらないよ」
「俺が心配なの!!」
「…だって寝る場所ないよ?ここ狭いし」
「それなら大丈夫。俺どこでも寝れるから。生まれた時から道端で寝てたからな!はははっ」

…本当のことだけに笑えないよ。

「真ちゃん、ベッドで寝て。私テーブルどかしてここで寝るから」
「馬鹿。そんなことさせねーって」

真ちゃんが熱そうにお茶をすすり、私の方をチラッと見る。

「それか…添い寝でもいいなら一緒に寝るけど?」
「…いつの頃の話してるの」
「小学生!あん時は金魚のフンみたいに俺の後ろくっついてたもんな!」

悪かったな、金魚のフンで。
ケラケラ笑う真ちゃんを私は冷めた目で睨む。

「あ〜腹減った!飯行こ、飯!」
「あ、待ってよ」

そそくさと玄関に向かう真ちゃんを追いかけるように急いで鞄と鍵を取り、後を追う。私はまだ金魚のフンなのかも。





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