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あなたの胸の中で眠る花
第4章 再会

玄関を出ると、外は薄暗くなっていた。暦の上では春でも、この時間はまだまだ肌寒い。私は袖を掴みながらフードを被り、真ちゃんの後ろをついていく。階段を降りていると、下から誰かが上がってきた。中年の男性かな?ネイビーのマフラーをしてビニール袋を持っている。擦れ違おうとした時、いきなり真ちゃんがその男性に声をかけた。

「あれ、一条さん、ですよね!?俺、堤ですよ!」

男性は一瞬きょとんとしていたが、思い出したようですぐ笑顔になった。

「堤くんか!いや、驚いたなぁ。どうしたの、里帰り?」
「そうなんですよ!てか、部屋借りたってもしかしてここですか?」
「あぁ、開業準備が落ち着くまではね。独り身にはちょうどいいよ」

穏やかに笑う男性。あれ…この人、どこかで見た気がする。どこだろう、なかなか思い出せない。私が不思議そうな顔で二人を見ていると、その男性は私に気付いた。

「そちらは…」
「あ、前に話したことあるでしょ。心だよ!」

私のこと話したことあるの?けっこう親しいのかな。

「あぁ、よくお話は伺ってました。初めまして、一条です」

一条さんが私に会釈をしたので、私も会釈を返した。あまりに素っ気なかったので、真ちゃんが私の背中を軽く叩いた。

「心、お前ちゃんと挨拶しろよー。一条さん、ごめんね?人見知りするだけなんだ」
「ははっ、大丈夫だよ」

だってなんか緊張するんだもん。

「片瀬です…どうも」

真ちゃんは呆れているのか、小さな溜息を吐く。

「一条さんは俺が塾のバイトしてた時一緒だったんだ。独立するから、こっちに引っ越してきたんだって」
「この歳になってくると、落ち着いた場所がよくてね。前に下見に来た時に決めてよかったよ」
「良かったですね。階段上ってるってことは…一条さんもしかして二階?何号室ですか?」
「203号室だけど…」
「え!心の隣じゃん!すげー偶然!」

私は202号室。隣っていっても、私には赤の他人なんだけど。


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