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あなたの胸の中で眠る花
第5章 ♦︎曖昧な恋心*

二年ぶりに会った '妹' は、すっかり大人の女に成長していた。

無愛想な表情と触ったら柔らかそうな頰は今でも変わらないけど。


東京に行ったら、大学を卒業するまでは帰らないと決めていた……のに。俺の決意は思ったより固くはなかったようだ。自立することが一番の理由だったが、本当はもう一つあった。

もう十年以上の付き合い。いつの間にか、施設にいる誰よりも長い時間を過ごしていた。この気持ちが恋愛なのか、家族としての感情なのかは未だに葛藤している。まぁ、勃起している時点で確実に女として見ているけど……。
だから一度離れてみて、自分の気持ちを確かめたかった。その為に、自分からは極力連絡しなかったし、忙しいのを理由に会いに行くこともなかった。東京での生活は本当に充実していて、調子に乗って女遊びも何度かした。

やっぱり兄心だったんだと、変な自信があった俺は、心の卒業を理由に帰ってきた。心も俺のことを見送ったんだ。俺もちゃんと見てやらないとダメだよな。

だけどやっぱり本人を目の前にすると違った。

微かに薄れていた気持ちは、再会という名で簡単に揺れ動く。
俺はそれを誤魔化すように軽い態度で接する。

勢いで泊まるって言ってしまったけど、後悔した。俺はこいつと居て平静を保てるのか?何事もなく、隣で寝れるのか?自問自答しながら、答えは分からない。


ただ、「真ちゃん」と変わらず呼ぶこいつを困らせたくはない。

この関係は壊したくない。
今まで築き上げてきたものを崩したくないんだ。








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