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あなたの胸の中で眠る花
第5章 ♦︎曖昧な恋心*

風呂から上がり、適当に着替える。
水を飲もうとキッチンに向かうと、小さなテーブルにラップに包まれたワンプレートの皿が置いてあるのに気付く。その横にメモ用紙があり、「チンして食べてね」と書かれていた。
卵焼きとソーセージが美味しそうに盛り付けられている。

全く、気遣わなくていいのに。
腹減ったらどっか適当に食いに行こうと思ってたし。

まぁ、心のこういうとこが好きなんだけどな。

卵焼きを口に運びながらぼーっとする。窓からは眩しいくらいの陽射しが降り注いでいる。心がバイト終わるの15時だっけ。後で迎えに行ってやろう。


朝食を食べ終えると、俺は部屋に戻り、ベッドの上に寝転がった。クローゼットの近くにはまだ整理されていない段ボールが二、三個が目に入る。その隣に寄り添うようにサーモンピンクの紙袋が置いてあった。
何となく起き上がって近付くと、コルクボードの板に写真がたくさん貼られていた。取り出して見ると、懐かしい思い出が蘇る。

心の部屋に、いつも飾ってあったやつだ。

十数枚ほど貼られた写真には、中学生くらいの幼い心と俺、佳永子先生と施設のやつらが写っていた。クリスマス会とお正月、夏にやったバーベキューの写真もある。俺は照れ隠しなのか、変顔ばっかりだ。


その写真たちの中央に、一つだけしわついた写真が視界に入る。

二十代くらいの若い男性と二つ結びにした幼女が手を繋いで写っている。
服装から見ると、運動会だろう。
写真の中の彼女はピースサインをしてとびっきりの笑顔を見せている。

これは…心がなくしたと大泣きしていた写真だ。
俺が偶然見つけたんだっけ。


『大事なもんなんだろ?ちゃんと持っとけよ』
『……うん』


それ以来、心は俺の後をくっついてくるようになった。
最初は鬱陶しかったけど、頼りにされるのは悪い気はしない。気付いたら、いつも一緒にいた。

心にとって父親は一番だ。それは今も昔も変わらない。
もし、心の父親が死んでなかったら…心と会うこともなかった。心は、今の自分の人生をどう思ってるんだろう。そう思うとなんとも言えない複雑な気持ちに駆られた。







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