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人魚島
第4章 咲子の村案内
原付を走らせる事15分ばかり、高台が見えて来た。
相変わらず早坂先生は軒先の金木犀の手入れをしていた。

『おはようございます、早坂先生』

織田裕二に眼鏡を掛けた様な端正な男らしい顔がこちらを見据える。

『やぁ、おはよう春樹くん、朝早くから一体どうしたの?』

『いえ、博打がどうなったのか気になって…』

笑う僕に『カフェラテ飲む?』とフンワリ微笑む早坂先生。
パリパリにアイロンの効いた白衣の裾を翻し靡かせながら『今日は咲子ちゃんは?』とガラス製の観音式の扉を開いた。
誰も居無い院内、やや埃っぽい事に気付く。
『待ってて、カフェラテ淹れて来るよ』と台所に消えて行く早坂先生の後ろ姿を見送り、今更猫を飼っている事に気付く。
『はい、お待たせ』カフェラテ片手に早坂先生がやって来る。
『咲子はまだ寝てます』僕が答えれば『咲子は低血圧だからなぁ』と笑う早坂先生。
カフェラテを飲みながら『結局どっちが勝ったんですか?』僕が訊ねる良く通るテノールボイスで早坂先生がフンワリ微笑みながら答えた。

『出たよ、彼女』

『良かったじゃ無いですか?』

『すぐ会えるらしいよ』

『いつですか?』

『明後日渡島するらしい、4泊程島の民宿に泊まる予定らしいよ』

『早く無いですか?』

『早く会いたいんじゃ無いのかな?なんてね…ハハハ…』

肩を揺らして笑う早坂先生、僕も嬉しくて笑えば飼い猫らしき長毛の美しい猫がマーキングして行った。

『咲子ちゃん家でやきもきしながら待ってるんじゃ無いの?』

早坂先生が珈琲を啜りながら煙草に火を放つ。
モクモクと立ち上がる副流煙。

『そろそろ帰ったら?』

『はい』

カフェラテを飲み干してトイレを借りる。
そして早坂先生に手を振りながら原付に股がり髪の毛を靡かせながら颯爽と高台から下った。
西日が眩しい田んぼ道、牛蛙がやかましく鳴いている。
腹の虫が鳴っている様なそれを耳にしながら中学校を横切ろうとした時だ。
『おいッ!』とアディダスのスポーツウェアの少年がバット片手にズンズン近付いて来た。
高山先輩だった。
つまりは僕と同い年なのだ。
『お前が咲子の彼氏なのか?』やや戸惑いの色を浮かべた目が僕を睨んでいる。
『違います』と首を横に振る。
『じゃあなんやねん?』としつこい高山先輩。
『遠い親戚関係です』とサラッと答えてやる僕を睨む高山先輩。
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