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人魚島
第4章 咲子の村案内
不意に呼ばれ振り返れば花子がホウキ片手に立っていた。
花子のショートカットの髪の毛が潮風に揺れていた。

『どうしたの?』

『なんかあった?怒ってる?』

『別に…ちょっと絡まれただけだよ』

『誰に?』

『高山…先輩』

『ああ、彼血気盛んやから仕方無いよ』

肩を竦め笑う花子を見ているとなんだか怒る気力もうせる。、
ポカーンと笑う花子を眺め塵取りを不意に握った。

『何するけん?』

花子が塵取り片手の僕に小首を傾げる。

『掃除、手伝いたいんだ』

『わ、ありがとう』

綻ぶ花子に思わずこちらまで綻んでしまう。
柿の落ち葉を掃除しながらなんだか平和ボケしてしまう。
花子と掃除していると甲高い聞き慣れ声が遠くの方からした。
顔を上げれば咲子が腰に手を添えながらこちらを睨んでいる。
『何?』と近寄り事情を聞けば、起きたら僕が居無い事やら湯船に精液が浮かんでいた事やらガミガミ言ってくる。
『なんで起きたら起こさんねん?』ガミガミ言ってくる咲子に対し『起こしたら悪いと思ってね』と肩を竦めながら言う僕。
『何処行くのも一緒やけん、起こさんといけんやろ?』相変わらずガミガミやかましい。
『行くよ』と半ば無理矢理咲子の手を取る僕に『またね』と小さく手を振る花子。
僕は『博打、咲子の勝ちだよ?スマートホンGETだね』と笑う。
途端機嫌を良くしニヤニヤする咲子。
本当に可愛い。

『あ、ハルキぃ、忘れてたよ、後で携帯電話の番号教えなさいよ?』

『良いよ、僕の番号覚えやすいよ?』

『ホンマか』

『うん、下3桁が777なんだ』

『パチスロ好きな人がなんや好みそうやな』

笑う咲子、玄関に共に入れば相変わらず聞こえて来る。

『あッ!あッ!あッ!あッ!気持ち良いけんッ!気持ち良いけんッ!イクけんッ!イクけんッ!イクけんッ!イクけんッ!』

『うおぉ…俺かてイクけんッ!俺かてイクけんッ!俺かてイクけんッ!一緒にイこうッ?なぁ、一緒にイこうッ?』

何やらハァハァガタガタ聞こえて来るでは無いか。
やかましいそれに顔を背けながら『帰ってからああなの?』と咲子の顔を伺う。
『そう、お盛んやねん』と肩を小さく竦める咲子。
仕方無いので二人して肩を寄せ合いながら自家製麦茶を飲んだ。

『ああ、イクけんッ!イクけんッ!』 

『ああ、俺もイクけんッ!』

激しさは増す一方だ。
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