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人魚島
第4章 咲子の村案内
教室が南側に並んでいた。
ちょうど良く日陰になっていて深い緑色の床はヒンヤリしている。
『涼しいね』と咲子と手を繋ぎながら奥の教室のスライド式扉を開ければ突き当たりの窓からは中庭が一望出来た。
教室は三つしか無く全校生徒が300~350人程度の規模だと伺わせた。
『席窓際やし、穂波が隣の席やけん退屈せん』と何やらアニメのキャラクターがプリントされた座布団付きの伊須に腰掛ける咲子。
そこが咲子の席らしい。
北側の中庭には深い影が落ちている。
ベランダの鍵を開けて靴下のままベランダに出る。
潮風が頬や前髪を撫でた。
磯の香りに潮騒、何やら畑を焼く匂いが芳ばしく漂って来る。
咲子がベランダの手摺に寄り掛かりながら『本当にジャニーズのMr.KINGの永瀬廉くんに似ているね』と潮風に靡く長い黒髪を掻き上げた。

『ハルキは大人っぽい顔してるけん、高校生や大学生みたい、ねぇ、大学行くの?』

『うん、東京芸術大学に行くつもりだよ』

『え?偏差値いくらなん?』

『61位だったかな』

『高く無い?』

『三咲さんから聞いたよ、咲子は広島大学に行くんだろ?広島大学は確か偏差値平均すれば65位だよ、何学部に入学するのか知ら無いけどさ』

『うちは中学校出たらすぐにハルキと結婚するけん』

『駄目だよ、僕は進学するんだから』

『何処に?』

『青学』

『え?』

『青山学院大学付属高校、大学も青山学院大学で構わ無いけど、ベースの勉強したいからね、後は戸山高校かな、公立高校だしな、制服もカッコいいし』

『ハルキと制服デートしたいなぁ』

『また今度ね、ちなみにこの中学校はセーラー服?ブレザー?』

僕の問い掛けに再度髪の毛を掻き上げながら咲子が『セーラー服』とはにかむ。

『ハルキは頭良いんだね、うちアンポンタンやけん、羨ましいな』

『毎晩塾通いだからな、滑り止めに中央大学付属杉並高校受けるつもりだよ』

『ああ、なんやハルキが遠ざかって行くなぁ』

咲子が腕組みしながら溜め息を吐き出した。

『咲子、高校位は出ろよ』

『なんで?』

『就職しやすいから』

『うん?』

『夢とか無いの?』

少し考えてから咲子が答えた。

『看護婦さんかな』

『ナースか、悪く無いよ』

『沼南高校偏差値35位やからギリギリ入れると思うわ、福山市やから僚生活になって島離れるけん』
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