この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
人魚島
第5章 夏祭り
やや緊張しながら『あ…あのね』と切り出した。

『ハルくん?なんだか様子がおかしいけど?夏風邪でも貰ったのかな?』

『実は別れて欲しいんだ』

『ハァッ?』

『………』

もはや返事すら出来ない順子のすっとんきょうな声にたじろぐ僕。

『何よそれ?』

『………』

僕の鼓動は皮肉にも順子に気持ちを打ち明ける時位速まっていた。
同時に脚も震えた。

『理由は?他に好きな子出来たとかぁ?』

流石は女の勘を備えているだけある…思わず関心してしまう。

『誰?ねぇ誰?隣のクラスの松尾さん?あの子可愛らしいもんな?』

『………』

『何とか言ったらどうなの?』

受話器の向こう側ガンッと音がした。
デスク辺り蹴り上げているのだろう。

『ごめん、良く解ん無いや』

『何がよ?』

『順子の事』

『何それ?』

『とりあえずまた夜に掛けるよ』

『それだけ?』

『…ごめんな』

『………』

『誰よりも好きだったよ』

酷い男に思われても構わ無かった。
今は今すぐに咲子が欲しかった。

『酷いねぇ』

不意に聞き慣れた声がし振り返れば花子がニヤニヤしながら立っていた。

『一体いつからそこに立ってたの?』

僕の問い掛けに花子が『最初からだよ』と小首を傾げる。

『ハルくんはお姉ちゃんの事が好きなの?』

何故だか海より深い悲しみに満ちた声色だった。
僕は意を決して『うん』と頷く。
花子が『そっか』と寂しげに呟いた。
そしてチリンと風鈴が鳴る中、不意に花子が僕の身体に手を伸ばし抱き寄せた。
途端ドキッとした。
花子からはただただパンテーンの豊かなシトラスの香りがしていた。
花子のAAカップが腹筋に当たる。

『咲子に見られちゃうよ?離れてよ?』

言いながらも無意識に花子の背中に手を回す僕。
花子が『好きだよ?』と顔を上げる。
そこには表面がややデコボコとしたヌラヌラした肌色の肉塊しか無い。
恐怖し、畏怖した。
花子が『またね』と離れて行く。
僕は何故だかもう二度と花子と会え無い様な錯覚に陥って思わず花子の腕を掴んだ。
『あ…』花子が小さく呟いた瞬間、花子が背伸びし僕の唇に唇を重ねた。
僕からすれば初めてのキス…ファーストキスだった。
なんだか花子の唇からは磯の甘い香りがした。
10秒程し、ようやく花子が離れて行く。
『ウオトに教えて貰った』と花子が笑った。
/488ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ