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人魚島
第5章 夏祭り
いたく花子が狂おしい程いとおしかった。
切無げに顔を歪めながら『またね』と駆け出して行く花子。
思わず抱き締めて引き止め様とする自分自身に驚いてしまった。
手は空を切るのみ。
花子の背中が茂みに消えるのを見届けてから僕は牛舎に踵を返した。
見れば咲子が寝返りをちょうど打って欠伸を洩らしていた。
可愛いなぁ…素直に思いながら咲子の横にゆっくり寝そべる僕。
咲子は規則正しくスーッスーッと鼻呼吸していた。
身体をS字に曲げ、両手を顔の前で小さく重ねていた。
ソッと咲子の額に口付ければ爽やかなパンテーンとシーブリーズの香りがした。
『ん…』咲子がゆっくり目蓋を開く。

『起こしちゃった?』

『ん、大丈夫や…』

目蓋を再度閉じながら鼻を動かす咲子。

『藁の良い香りがすんな…』

咲子が呟く。
僕は『うん』と再び咲子の額に口付けする。
咲子が身を捩りながら『くすぐったいけん』と悦ぶ。
可愛いなぁ…改めてそう思いながらも頭には先程の花子との淡いファーストキスが過る。
僕より花子はませていた。
そりゃ大学生の恋人が居たのだから当然だ。
大神魚人…何者なのだろうか?
人間の姿を借りた魚人様なのか?
はたまたただの人間なのか?
疑念は尽きなかった。

『ちょっと寝るけん』

咲子が寝返りを打つ。
僕も高い牛舎の天井を見上げながら目蓋を閉じた。
夢でも花子に激しく求められる夢を見た。
思わず勃起したが夢精には至らなかった。
幸いしていた。
目覚めれば夕方の4時半過ぎだった。
見上げた空は美しい快晴、咲子としっかり手を握りながら魚沼家に戻る。
鉄板プレートに焼きそばが炒められていた。
花子が率先して菜箸で炒めている。

『あ、お姉ちゃん、ハルキくん、おかえりなさい』

『ただいま、今夜は焼きそばかぁ』

『うん、おじぃちゃんが隣の家のオバサンにイカやら野菜やら貰ったけんな、海鮮焼きそばや』

僕等は卓袱台の前に正座した。
次第に宗一さん、静枝さん、三咲さん、橘さんがやって来て着席する。
橘さんが『お前らまたヤッたやろ?プンプン臭うぞ?』と早速茶化して来る。

『またアンタ等ヤッたんか?』

目を丸くしながら三咲さんが睨んで来る。

『でも二回だけだよ?』

『何処でしたんや?』

『中学校の音楽室と公園や』

『またそんな汚い場所でしたんか?』

『大丈夫』

『病気なっても知らん』
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