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人魚島
第5章 夏祭り
『なんでや?』

花子がキョトンと肩を竦めた。

『孕んじまったら魚人様がお怒りになるけん』

花子の頭をワシャワシャしながら橘さんは続けた。

『へッ…魚人様の呪いかなんだか知らねぇが、花子は顔がありゃ村一番の別嬪さんに違いねぇよ。今は咲子がナンバーワンやけどな』

続いて咲子の頭をワシャワシャする橘さんに肩を竦めて喜ぶ咲子。

『姉妹揃って別嬪さんの筈やでしかし』

ほろ酔いを傾けながら僕等は橘さんの話を聞いていた。

『セックスしてみたいなぁ』

花子が大胆発言する。

『アソコがヒクヒク気持ち良いんやろ?なぁ?』

『オマンコだけやのうて全身気持ちええくなるけんな、男もマス掻いた時よか気持ちええ、特別覚え立てはな』

確かにセックスはオナニーより気持ちが良い。
それは抗え無い事実だった。

『やし、オマンコとチンコの相性が抜群やったら尚の事幸せや』

橘さんがアイスキャンディーのスティックをゴミ箱に捨てながら饒舌に続けた。

『オマンコ舐めてオマンコ弄って、乳首舐めて乳首弄って一緒に昇天出来りゃそんだけで男と女幸せだな』

『蓮とはヤッたん?』

不意に咲子が空気の読め無い質問を繰り出した。

『あん?』

橘さんの顔が曇る。

『やから、魚姫の蓮とはヤッたんか?』

『指名はしたがヤッた事ねぇよ』

『なんで?』

『あんな…ガリガリなおなごに誰が欲情するんや』

『蓮は拒食症なだけや』

『知っとる』

『蓮は橘に惚れとる』

『それも知っとる』

『ならなんでエッチせんのや?』

『やからあんなガリガリなおなごに勃起せんからや』

『ならなんで指名は入れよるんや?』

『施しやな、一種の施しや、蓮が俺に惚れとる噂は初期から知っとったけん、興味があった。どないなおなごかなぁって興味があった』

『生で見てどないおもたんや?』

『まぁ、適当に可愛いなぁ位はおもたけどな、ベッドに誘われたけん付いて行きゃあ足の踏み場もねぇベッドルーム…きったねぇ使用済みナプキンやらタンポンやら転がっとったけん、はやる蓮を落ち着かせて二時間ばかし酌させたのが蓮との始まりよ』

赤丸の先端に火を付けながら更に続けた。

『お袋に似てたからかなぁ?』

空中をボンヤリ眺め煙草を吸う橘さん。

『お袋?橘の母ちゃんに蓮は似とるんか?』

『横顔とか、ちょっとな』

『横顔?』
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