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人魚島
第5章 夏祭り
『違います…なんか、心配で…』

『ハハハ…にぃちゃん心配してくれよんの?春樹言うたな?アンタホンマにええ顔しとんな、若い頃の孝みたいや』

ヴィヴィアンウエストウッドのロッキンホースベイビーを高々に鳴らしながら蓮さんは続けた。

『アンタ、テクニシャンやのに、なんだってまた咲子は絶頂せんのかなぁ?』

『解りません』

自転車を押しながら僕は告げる。

『身体の相性が悪いんかなぁ?』

小首を傾げる蓮さん。

『まぁ、その内あんあんイクイク言うて昇天するやろ?』

ブラックデビルを煙管で吸いながら不意にふと蓮さんが呟いた。

『あ…飛べそう』

『何が?』

『あたし、空飛べそう』

ウットリ肩を竦める蓮さん。

『飛べませんよ』

『ちゃうの、冷たいシャブのフラッシュバックでフワフワすんの』

『シャブ?』

『うん、こやってな…』

蓮さんが飛行機みたいに華奢なリストカットまみれの腕を水平に持ち上げた。

『キー…ン…って何処迄も飛べそうなの』

クスッと笑いながら続ける蓮さんは何処か儚く寂しそうだ。

『昔ね、高校生の頃かな?好きな人が居たんだ』

『誰?』

『病院の閉鎖病棟の西村さんって言うナースさん』

『ナース?』

『うん、今から思えば相思相愛やったわ、西村さんは優しかったよ、こない頭がトチ狂ったあたしにも』

寂しげに自嘲する蓮さん。

『西村さんとは身体結ばれんかったけどな、心はしっかり固く結び付いてたわ、あ、後ろ乗って良い?』

『構いませんよ』

僕は蓮さんを乗せて自転車に股がり地面をゆっくり蹴った。
走り出すひしゃげた自転車。

『オナニー手伝ってもろたりはしたわ、けど抱いてはくれんかったな…懐かしい…んであたしはどんどん西村さんから離れて行ってテレホンセックスの相手好きになってった…チッ…やな思い出だよ、全く』

『テレホンセックスの相手は誰なんですか?』

『ヤクザの元の旦那、未だに元鞘に戻れって大阪中探してるらしい、皮肉にも名前は早坂…早坂先生と苗字同じや』

『ヤクザなんでしょ?この島に居る事バレて無いんですか?』

『生憎頭だけは回らんらしいから、大丈夫』

僕の肩に頭を重ねてもたれる蓮さん。

ヴィヴィアンウエストウッドの香水の香りがした。

『アンタは彼女おらんのか?』

彼女…あ、順子に電話するのすっかり忘れていたぞ。
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