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人魚島
第5章 夏祭り
『初耳やけん』

『三咲に聞けばゴーヤ、畑で採れたけん、ゴーヤチャンプル作れよな、にっげぇやつ作れよな、豆腐は必ず木綿な』

日本酒神清と書かれた一升瓶からグラスにトクトクトクッと注ぎ入れてキャメルの先端に火を付けながらグビッとする明さん。

『ゴーヤチャンプルな、解ったけん、ちょっと待っとれ、ハルキはその間にコンドーム買いに市場に行け』

割烹着の袖に腕を通しながら咲子が先程明さんから貰った三咲さんの1500円を手渡して来た。

『原付勝手につこて構わんやろ、橘には後で借りた言うたらええけん』

咲子の飄々とした言葉に三咲さんが『アホたれ、アカンアカンアカンッ!チャリにしときッ!事故ったらどないすんのやッ?やし原付は孝のもんじゃけん』と卓袱台を叩けばすぐさま明さんが『ハハハッ別に減るもんじゃねぇし、構わねぇだろ?橘には俺から言うとくけん』と笑う。

『市場って何処にあるんですか?』

『ああ、畜生…まだハルキに市場だけは案内しとらんかったな、忘れてたッ!』

咲子が残念そうに肩を竦めた。

『地図書いてやるよ、ここが卸し市場、んでパーラー末次、駄菓子屋遠山…この通りを…真っ直ぐ行ってよ、ここの裏手を上がってよ、したら見えて来るけん、近いよ?』

まるでさながらミミズが蠢いている様な軟弱な筆圧で描かれた明さん手製の地図…不安になる。
まぁ、交番も近いし最悪克己さんに道を聞こうかな。
『解りました行ってきます』と僕は情け無い地図片手に原付に股がり髪の毛を靡かせながらまず漁港を目指す事にした。
ムワッと朝っぱらから暑苦しい、西日がさんさんチクチク降り注いでいる。
日焼けしてくだろうな僕、そう思いながら立派な注連縄みたいな三つ編み頭の少女とすれ違った。

『あれ?春樹くん?』

彼女よりやや3メートル先でようやくブレーキが掛かり僕は振り返った。
一昨日花火した穂波さんだった。
眼鏡越しの大きな瞳がキラキラしている。

『穂波さん?何処に行くの?』

『今から市場で父さんのお酒買いに行くの』

市場で買い物ッ?これは付いて行った方がラッキーだ。
こんな得体の知れ無い明さん手製の地図よりも穂波さんに付いて行った方が得策だ。

『付いて行っても良い?』

『良いよ?何買うの?』

『あ…えっと…』

まさかコンドームとは言えそうに無い。

『た、橘さんの煙草とお酒だよ』
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