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人魚島
第7章 大神魚人再来
『………』

僕は思わず押し黙ってしまう。
花子はウオトが好きだったし、ウオトも花子が好きなのだ。

『どっちかな?』

再度浴槽の縁に頬杖を付きながら妖艶にウオトがフンワリ微笑む。

『別に…関係無いじゃ無いですか』

ややつっけんどんに曖昧な笑みを浮かべながら返す僕に『そっか』とニコニコするウオト。

『僕も頭洗うから』

ウオトが湯船から出た。
本能的にウオトの陰茎をチラ見してしまう。
なかなかでかい。
成熟した大人の陰茎そのものだった。
勃起すれば17㎝位か…畜生、そう思いながら僕は頭を濯いだ。
ウオトが僕の隣で頭を洗い始めた。
海を泳いで来たのか磯の香りがする。

『難破ってどの辺りで?』

僕の問い掛けにウオトが『近くだよ、満ち潮とゲリラ豪雨で水位が上がったけん、たいした難破って言う程じゃ無いよ、立ち往生した位かな』と笑う。

『今すぐ降りたい旨を伝えたら断られたからボストンバッグ片手に海にダイブ、それから春魚に荷物置いて一目散に魚沼家に走って来たの』

『またアルバイトしに来たんですか?』

『勿論』

眼鏡の無いウオトはそれはそれはカッコ良かった。
眼鏡を掛けていても知的そうでカッコ良かったが、眼鏡を外せば爽やかな笑みがそこにはあった。

『春樹くん、背中流してくれる?』

スポンジタオルに石鹸を擦り付けながらウオトが僕にそれを手渡して来る。
それを受け取りながら僕は筋肉質で引き締まったウオトの背中に這わせた。

『何故、僕の名前知ってるんですか?』

『この前かな、花子から携帯電話にLINEが来てたけん、生憎バタバタ忙しかったからなかなか返信出来やんかったけど、そこに遠い親戚が来たって春樹くんの事書かれてたんや』

成る程、別に魚人様の不思議な力だとかじゃ無いのか。
しかし、大神魚人は本当に魚人様なのだろうか?
この人間離れした美しさから察するには魚人様にしか感じられ無い。

『うん、力加減もええよ、ありがとう』

僕はウオトの背筋にスポンジタオルを擦り付けながらウオトの髪の毛を背後からボンヤリ眺めていた。
闇を思わせる漆黒の髪はサラサラでシャンプーの良い香りがしていた。

『ありがとう、春樹くんも背中流してあげるけん、こっちに背中向けて?』

『はい』

背中を向ければウオトがゆっくり優しく背中にスポンジタオルを這わせた。
途端クラクラした。
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