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人魚島
第7章 大神魚人再来
『ああ、ああ、こりゃ鼻の骨やられてんな、早坂先生んとこ行くか?』

『んんッ』

蓮さんの赤黒く腫れた鼻先を撫でながら橘さんが『ミケ、片付けとけ、俺と坊主で早坂先生んとこ行ってくるけん』と立ち上がりダイソンをミケさんに手渡す。

『ハァッ?』

ミケさんが不服そうにダイソンの電源をOFFにし橘さんを睨んだ。

『あたしも行くよ』

『アカン』

『蓮そろそろ安定剤のエビリファイ貰う頃や、過剰摂取する癖あるけん、あたしが管理しとるけん行くよ』

『なら、俺が処方箋預かっとくわ』

『しゃあ無いな、ほな頼んだで、2週間分頼んだで?』

ミケさんが『うわ、蓮、ゴキブリの卵あるやん』と使い捨て割り箸でゴキブリの卵を摘まみ汚いトイレの便器に流した。

『行くぞ、坊主』

『はい』

『ひやってするお薬ちょうらい?』

『無いから』

『孝ぃ』

『何や?苦しいんか?』

『好きッ』

『わぁった、わぁった、ほら、カーディガン羽織れ、今朝はゲリラ豪雨止んだけどまだ冷えとるからな』

孝さんが優しく蓮さんを抱き抱えながら軽トラの助手席に蓮さんを座らせた。
尚も蓮さんの鼻からは鼻血が落下していて痛々しい。

『全く、誰がやったんや?埠頭の荒くれもんか?』

ギアをガチャンとチェンジさせながら橘さんが眉ねを寄せ蓮さんを宥める。
僕は軽トラの荷台に膝を抱えて座り、空を見上げた。
大神魚人は何しに来たのだろうか?
花子を僕から奪う為だろうか?
そんな事はさせ無い…。
ブロロロロ…と黒い排気ガスを出しながら軽トラが売春街から離れて行く。
まだ低気圧なのか台風が近いのか突風は止ま無い。
朝6時、僕等3人は埠頭外れの木々が生い茂る丘にある早坂クリニックにやって来た。
橘さんが咥え煙草しながら適当に軽トラを早坂クリニックに横付けする。
蓮さんは『アハハハハ…』と幻覚を見ている様だった。
離脱しているのだ。
『ほら、掴まれ』橘さんが蓮さんをお姫様抱っこし『急患や、開けてくれ』と早坂クリニックの扉を叩いた。
不意に扉のブラインドがカシャッと開きやや驚いた顔の早坂先生が立っていた。

『蓮ちゃん、どうしたの?』

『客にどつき回されたらしい、多分軽くヒビ入ってるけん、レントゲン見てやってくれ』

『ああ、これヒビだね、中に入りなさい、お茶淹れるよ』

3人で待合室のソファーに腰掛けて先生を待つ。
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