この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
人魚島
第2章 人魚島
『話があるけん』無駄にドキンとした。
どぎまぎしながら『いや…』だとか『え?』と右手で口元を押さえながら気取った。

『魚人様、知りたいんやろ?』

『え?』

ああ、そうだ。
僕は魚人様とやら存在の本質を知りたかったのだ。
咲子が妙に真剣な顔付きになりながら続けた。

『魚人様はこの島の宝、この島の精霊、この島の神様じゃけん』

咲子が長く濃い睫毛を伏せながら呟いた。

『宝?精霊?神様?』

『そうじゃけん』

『どう言う意味?』

『明日通夜前に祠に連れてくけん、今はそれしか言えんけん、帰ろう』

咲子があやふやに誤魔化しながら唇を突き出し『じゃけん帰ろう』と自転車を押す。
僕は訳が解ら無い。
宝?精霊?神様?
お手上げだった。
咲子に促され帰宅すると三咲さんが『アンタら呑んだやろッ!父ちゃんに言うけんねッ!』と仁王立ちした。
三咲さんを擦り抜けながら咲子が『父ちゃん来週まで船帰らんじゃろ』と笑う。
『アンタら、はよ晩飯食いや、うち商売して来るけん』と居間を後にした。
三咲さんが居無い中、僕らは5人は無言で野菜炒めを食べた。

『そろそろ着付けせんといかんね、咲子は黒のワンピース、花子は黒の着物やで』

静枝さんが不意に箸を止めて咲子と花子をそれぞれ目配せした。

『またうちがワンピースなん?子供扱いせんでよ?子供や無いし、うちかて着物の袖に腕通したいわ、髪の毛クルクル巻きたいわ…なんでいっつも花子優先でうちは最後なん?』

『仕方無いやろて、花子は魚人様の巫女様なんやから』

巫女様?
いや、触れ無いでおこう。
僕は黙ったまま野菜炒めを食し、咲子と花子が立ち上がり着付けする様を見送った。
宗一さんが『よそ者は知らんでええ事があるんや』とナイター野球にテレビの番組を変えた。
因縁対決広島カープ対阪神タイガースだ。

『わ、広島カープじゃ無いですか』

興奮する僕に宗一さんが『まぁ、落ち着け』と笑いながら煙草を吹かす。
煙の中、僕と宗一さんは手に汗を握りながら観戦し、次第に熱を冷まし喪服にそれぞれ着替えた。

『お待たせ』

咲子と花子がやって来た。
咲子は黒のロングワンピース、花子は黒の和装姿だ。
咲子が羨ましげにジロリと花子を睨み付け花子はニコニコしていた。

『公民館行くけん、歩くよ』

咲子がズンズン歩いて行く。
後方、不意に花子が声を掛けて来た。
/488ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ