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人魚島
第7章 大神魚人再来
『父上は健在なんか?』ミケさんがハムパンの封をゴミ箱に入れながら訊ねた。

『いえ、父は去年肝臓癌で45歳の若さで他界しました。最期迄漁師になれと言ってましたね、最期まで謝れなかった』

ウオトが不意に眼鏡を外し、風で付着した砂浜の砂を取り払った。
なんだか仕草が妙に色っぽい。

『ほな、天涯孤独なんか?』

『はい、昔は本当の家族を探しましたが父も母も優しかったんで満足して止めました。今は呉市の学生寮のアパートに独り暮らしです。友達は少無いですが、親友は何人か居るんで楽しいです』

『彼女は?』

『ハハハ…生憎今まで1人しか出来た事ありません。年下でね、可愛い子です。やけど、その子の姉が僕に執着したんで、僕はその子から仕方無く離れる事にしたんですよ』

ああ、きっと花子の事だ。
そうに違い無い。

『恋愛と言うか淡い片想いでしたね』

『アンタみたいな超絶イケメンでも彼女おらんのか、世の中解らんなぁ』

ブラックデビルを燻らせて牛乳をがぶ飲みするミケさんにウオトが『結婚出来る年齢になったら迎えに行くつもりです』と真顔で告げながら手を握り拳にした。

『相手は高校生位かいな?』

『いえ、まだ中学生です』

『ハァッ?セックスまさかして無いよね?』

『まさか、しとらんけん、まだ彼女は処女ですよ…まぁ、手を使って弄ったりはしましたけど…挿入迄には至りませんでしたし、僕等まだコンドームかて持ってへんかったし…挿入確かに出来ましたが擦り付ける程度でした』

花子の初体験は僕が無理矢理奪って中に迄射精したが、まさか性器を生々しく擦り合う仲とは知ら無かった。

『へぇ、関西の子?』

『はい、広島の女の子です』

『また会ったりせんのん?』

『しましたよ、未練たらしく…ああ、雨が来ますよミケさん。洗濯物取り込んだ方が良いですよ?』

ウオトが不意にまた眼鏡を外しながら呟いた。

『嘘やろ?今日は降水確率10%やで?』

『あ…ほら?』

途端、プレハブハウスにポツポツと雨粒が落下して来た。

『嘘やろ?アカン、ヴィヴィアンウエストウッドのワンピース干したまんまや』

慌てて窓際のワンピースやブラジャーやらを回収して行くミケさん。

『蓮の洗濯物も取り込んで来るから、ゆっくりしてってな』

プレハブハウスから出て行くミケさん。

『何故解ったの?』

僕は彼を見詰めた。
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