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人魚島
第10章 東京編
花子の出した決断にやけに苛立った。
万年床の中で貧乏揺すりしながら次第に微睡んで行った。
朝方目覚めても花子は自棄酒していた。
安定剤をバリバリ奥歯で噛み砕いている。
『呑みすぎだよ』と咎めても『呑ませてッ!』と泣きじゃくる始末。
やれやれ仕方無いなと僕は花子の手からグラスを取り上げ流しに捨てた。
黒霧島本体も流しに捨てた。

『何すんねんッ!』

花子がピシャリと僕に平手打ちした。
よろめく僕。
すかさず二発目が襲う。
僕は歯を食い縛って痛みに耐えた。
酔っているのか花子は容赦無い。
三発目をかわし、僕は華奢な花子の手首を掴み『止めろッ』と制した。
その場に泣き崩れる花子。
僕は居たたまれなくなり、ヴィヴィアンウエストウッドのジーンズに着替えアパートを飛び出し逃げ出した。
背後では花子の泣き声が響いていて、僕は震える足取りのまま山手線で池袋駅に向かいミケさんに電話した。

『はいはぁい…只今現在お掛けになった電話番号は使われておりませぇん、番号をお確かめになって、もう一度お掛け直し下さいだ、ばぁかッ』

『ミケさん、僕です、春樹です』

『あぁん、おはよう、どないしたん?』

『ミケさんのマンション行っても構いませんか?』

『別に良いけど、花子の奴、やっぱり春樹くんに話したん?』

『中絶の件ですか?』

『うん』

『夜帰宅してから聞きました』

『そっか…ならうちおいでや、場所は解るやろ?』

『はい』

僕は花子からの着信を無視してミケさんのマンションにやって来た。
エレベーターホールでカーディガンに白い短パン姿のミケさんがウイスキーの瓶片手に待っていてくれた。

『はよ、入りや、ヒーター付けてるけんな』

『すみません』

中に入る。
穴だらけだった筈の壁は修繕されていた。
僕が、いや"春樹"が作った穴は綺麗に塞がれていた。

『年明け早々に塞いだんや、縁起悪いやろ?何か呑む?缶ビールならあるよ?』

『はい、ありがとうございます』

僕は何かを振り切る様に缶ビールを呷った。
ブラックデビルを燻らせながらミケさんが『アンタほっぺた赤くなって腫れてるやん』と目を丸くするので花子に殴られた事を告げた。

『アホたれ…花子酔ってたん?』

『はい、かなり』

『見せてみ?わ、口の中切れてるやんか』

『舐めとけば治りますよ』

『まぁ、消毒がてら呑みや?』
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