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人魚島
第10章 東京編
起き抜けのセックスは最高に気持ち良い。
朝勃ちのまま射精出来るからだ。
あらかたセックスを楽しみ、昼2時にミケさんの仕事を手伝う。
夕方アマテラスから『今夜行くわよ』と連絡が入り『お待ちしてますよ』とLINEを返した。
6時、新宿歌舞伎町にてアマテラスを迎え入れる支度に入るシンイチと僕。
ああ、アマテラスにも花子との一件を話して聞かせなきゃなら無いのか。
項垂れる僕に対してシンイチは『まぁ、気にすんな』と優しい。
次第に6時半になり、アマテラスがロールスロイスでやって来た。
黒のロングドレスに白いファーのマフラーを巻いている。
身形は完璧だった。
そしてルイ13世を4本も下ろす余裕のアマテラス。
どうやら個人的な酒の席は久しぶりらしい。
専ら会社役員との年始パーティーに明け暮れていたのだとか。
『久しぶりね』と笑ってロメオイジュリエッタを燻らせながらルイ13世を傾けるアマテラスに花子との一件を話して聞かせた。
アマテラスは『酷な話ね』と眉ねを寄せながら『帰ってあげなさいよ?』と僕の頭をワシャワシャした。
アマテラスに言われれば帰らなきゃなら無い気もする。

『上手く行って無いんですよ』

『何がよ?』

『だから…その…花子と』

『アンタが情け無い奴だからじゃ無いの?』

『はぁ、まぁ、そうですが…花子の奴に殴られるのは勘弁です』

バッハのG線上のマリアが奏でられる中、僕は髪型を整えながら、どうしたら花子と上手く行くのか、どうしたら謝れるのか模索をアマテラスに訊ねた。
アマテラスはしばらく考えてから静かに語り始めた。

『まずアンタがしっかりする事ね、まずは仕事を探してきちんと就職しなさい?解った?後、オンボロアパートから脱却するのよ?』

『来月蔵前に花子と二人で引っ越しするつもりですよ』

『蔵前か、悪く無いんじゃ無いかしら?』

ロメオイジュリエッタの灰を灰皿にトントンしながらアマテラスは更に続けた。

『他人に甘えるのもこれで最後になさい』

『他人って?』

『だから、ミケとか言う胡散臭い怪しい女の家に入り浸りセックスし放題は止めときなさいって言っているのよ、解ら無いかしら?』

『ミケさんは胡散臭く無いし怪しくも無いよ』

『けれどもちょっと前迄は覚醒剤まみれだったんでしょ?違う?』

『そりゃそうだけど…』

『何よ?言い訳するつもりかしら?』
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