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人魚島
第10章 東京編
アレルギーだって?
そんな馬鹿な?

『ア、アレルギーとは?』

僕は震える声と手のひらで訊ねる。

『まれにあるんだよ』

『アレルギーがですか?』

思わず声が裏返る。

『今のままじゃ危険だよ。最終的な手段だよ。魚沼さんに今朝方処方した薬剤が身体に合えば良いのだけど…』

窓ガラスの向こう側、花子が激しく咳き込む音がする。
花子の奴は免疫力が落ちて風邪を引いたらしい。

『あ、合わない場合は?』

『強制的に入院になるね、もはや手の打ち様が無いよ』

『まさか』

『AIDSを発症する可能性が極めて高くなる』

『つまり?』

僕の声色は激しく震えてたいた。
嫌な予感しかし無い。
手は嫌な汗が溢れ、スマートホンを持つ手のひらもヌルヌルし出す。

『魚沼さん…』

『…はい…』

『最終的に最悪死ぬかも知れ無い』

『………』

『覚悟しておいてね?それだけ言っておきたかったんだ。酷な事言ってごめんね』

『先生…花子は…死ぬのかな?』

『まだ解ら無いや』

『すみません』

『謝る必要は無いよ』

僕は膝から崩れ落ちた。

『また明日にでも来なさい』

『解りました』

そこで通話は途切れた。
僕はしばらくヒッソリ声を押し殺して泣いた。
花子は起き無かった。
僕はしばらく30分ばかり泣いてベランダから出た。
泣き腫らし目はパンパンだ。
横になっていた花子を抱き締めた時、花子が起き出した。

『ハルくん?どうしたの?泣いてるのかな?』

『泣いて無いよ?』

『嘘、目蓋や睫毛濡れてるよ?』

僕は目蓋を拭いながら『カップスープ飲もうか』と花子から目線を逸らした。
花子に熱々のカップスープを飲ませて、ケントを燻らせながら花子の頭をワシャワシャ撫でた。
花子はキョトンとしている。
『花子、体調大丈夫なら映画借りに行こうか?』とTSUTAYAに誘う。
『うんッ』と可愛らしく返事してくれる花子。
BMWを駐車場から出して花子を助手席に座らせる。
『近くだから車出さなくても良いのに』と笑う花子。
僕はなるべく梅毒を発症した花子を周りの人間に見せたく無かった。
そこから来る配慮のつもりだった。
TSUTAYAで花子はキアヌ・リーブスとシャーリーズ・セロン主演のスイートノベンバーを借りていた。
花子は言った『あたし達みたいな話だよ』と。
僕はいたく不安になってしまう。
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