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人魚島
第2章 人魚島
『すぐ作ったるけんな、味は咲子はハワイアンブルーやな、東京の若旦那はなんや?』

『じゃあ抹茶で』

『花子も抹茶好きや、アンタら同じやな』

途端ギクッとしたが、咲子が『こっち』と青いプールサイドにある様な日焼けしたプラスチック製の長椅子に促したので渋々長椅子に腰掛けた。

『あたしの寝室、二段ベッドやねん、上使いや?』

『え?』

女の子と相部屋?
途端胸がどぎまぎし、ドキドキした。
卸し市場を見下ろす形で僕らは運ばれたかき氷をそれぞれ食べて、飴玉やチューインガムを2~3個購入して魚沼家を目指した。
歩く度汗が吹き出た。
かき氷で冷えたのは指先だけだった様だ。

『あっちぃけん、家着いたら麦茶出しよるわ』

咲子がシャツの襟首をパタパタした。
咲子157㎝、僕169㎝、咲子の熟れた乳房がブラジャーの隙間からチラッと見え、慌てて顔を伏せた。
赤のギンガムチェックのブラジャーに覆われたそれは推定Dカップだった。

『この坂が辛いけん、気張りや』

『自転車押そうか?』

『後ろから押してや』

僕は『うん』と後方に回り自転車を押した。
不意にまた再び突風が撒き荒れ咲子のスカートを揺らした。
目を凝らした隙間、咲子のパンツがガッツリ見えた。
赤のギンガムチェックの小さな紐パンツ、年頃だからと言って紐パンツは無いだろう。
僕は『はぁぁぁ…』と溜め息を吐き出しながら目蓋を閉じて下を向いて自転車を押した。
咲子はスカートが何度も何度もフワフワしている事に気付いてい無いのかお尻を左右にフリフリまるでさながら誘うかの様に振っている。
誰も居無い学校の裏手、カキーンッと高鳴る野球部のバットの音、茂みに押し倒したら…このまま…咲子と…馬鹿馬鹿しい妄想に首を左右に振った。
咲子が不意に自転車を止めて立て掛けると『高山先輩だッ』と緑色のフェンスに駆け寄り校庭を熱い眼差しで見詰めた。
高山と呼ばれた少年がバッティングしている。

『カッコいいなぁ、高山先輩ッ』

『好きなの?』

フェンスをギュッと握る咲子に訊ねれば咲子は『ちゃうちゃう』と笑う。

『単に憧れてるだけや、やし高山先輩は林先輩と付き合っとってラブラブや、入る隙間なんかあらへんよ』

『そうなんだ』

なんだかホッとしている自分が居て頬が紅潮した。

『暑いけん、はよ帰ろか』

自転車に駆け寄る咲子の後を追う。
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