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人魚島
第2章 人魚島
咲子が勾配な坂道を自転車を押して行く。
相変わらず咲子のスカートはフワフワしている。
茂みが丁寧に手入れされたアスファルトの緩やかな坂道に出た。
茂みの隙間から真っ青な海が見えた。
まるで先程咲子が食べていたハワイアンブルーのかき氷の様だった。
潮騒が聞こえる。
ザザーン…ザザーン…ザザーン…と優しく優しく潮騒が聞こえる。

『夕方海岸で花火しよか?』

ようやく自転車の後方から手を離した僕に咲子が振り返りながら笑う。
愛くるしい笑みに胸がドキンとした。
咲子、学校じゃモテモテだろうな。

『良いの?』

『構わんけん、バケツ持ってやろ?夏休みやけん』

咲子がニシシッとガチャガチャの八重歯を見せながら笑った。

『友達沢山おるけん、紹介したるわ、後従姉妹の春香が来とるけん、後で挨拶したら良いわ』

『他に従姉妹は居無いの?』

『後は誠義理兄ちゃん、従兄弟の兄ちゃん来とるけんな、親戚は二人だけや、慎三ひぃじぃちゃんは金持ちになりよった途端離婚して塞ぎ込みよったけん、親戚付き合い悪いねん』

咲子は溜め息混じりにそう説明してから潮騒を耳にしながら古びた住宅地をキィキィ横切って行った。

『下に母ちゃんの店あるけん、行くけん』

咲子がニヤリとし自転車に股がり『はよ乗れや』と顎をクイッとさせる。

『思いよ?』

『50㎏前半やろ?ガリガリや、はよ乗れや、下り坂やけん風が気持ちええよ』

僕は渋々自転車の後ろに股がり咲子のか細い身体に手を這わした。

『行くけん、しっかり掴まっとけや?』

咲子がペダルに体重を掛けた。
キィと動き出すひしゃげた自転車。
彼岸花が咲き乱れる田んぼ沿いを下って行く自転車。
咲子がブレーキを巧みに握りながら速度を調節する。
不意に咲子の乳房が揺れ僕の人差し指に触れた。
『ああ、やべぇ』僕は情け無く勃起していた。
旅行にワクワクして自慰行為を昨晩怠ったからだ。
夏休みに突入してから僕はコッソリ自慰行為ばかりしている。
主にスマートホンでエロ動画をガン見して、そしてまたある時はエロ雑誌で射精し、精液を吐き出した。
僕は円周率を思い浮かべたが無意識に咲子のシャツの隙間に指先が侵入してしまう。
咲子は気付いてい無い、僕の指先は咲子のブラジャーのワイヤー部分に触れる。
『くぅ』僕は冷静になり指先を引っ込めた。

『到着や』

咲子が笑った。
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