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人魚島
第4章 咲子の村案内
ガキンッと奥歯が鳴った。
砕けた様だ。
『うををッ!』怒りに身を任し馬乗りの敦さんの首を締め上げれば敦さんも僕の首筋をギリギリ締め上げて来る。
酸欠の頭のまま手探りで卓袱台をひっくり返せばグラスがたちまち落下しジーンズを濡らした。
『アンタら止めやッ!』咲子が泣き叫ぶ。
カタンッと指先に硬い感触がし、それが硬い焼酎の瓶だと理解するのに数秒と掛から無かった。
無造作に力任せに力一杯それを右手で敦さんの頭にお見舞いすればガチャンと焼酎の瓶が割れ中身が飛び散った。
『警察呼ぶけんッ!』咲子が備え付けの電話に飛び付けば敦さんが『うへへッ!ポリ公呼べばお前らも俺も4~5年は豚箱やぞ?』とヨダレを垂らしながら肩を揺らして笑った。
僕は力の限り敦さんを押し倒しその隙に咲子を抱き抱え素早く給油し原付に股がり咲子に『しっかり掴まっとけッ!』と喚いた。
咲子が頷き僕にしがみ付く。
切れた唇や口内からは絶えず血が溢れていた。
それを二の腕で擦り一刻も早く咲子と二人切りになれる場所、安全な場所を探した。

『病院行くけん』

不意に咲子が言った。

『何処にあるの?』

『住宅街の脇道にあるけん、手当てしてもらお』

僕は咲子に言われるがまま開業医の早坂先生の所に一目散で駆け付けた。
早坂先生は高台の白い小さくてこじんまりとした病院の前で苗木の手入れをしていた。
咲子が慌てふためきながら『早坂先生ッ!』と早坂先生に駆け寄る。
内科と外科と産婦人科らしかった。

『どうしたの?』

訛りの一切無い標準語で早坂先生が眼鏡の奥の大きな目を丸くした。

『と、友達が喧嘩したの』

『はぁ、まぁ、また咲子の取り合いかな?ハハハ…』

『そんな悠長な事言わんで診てやッ!』

咲子が早坂先生の腕にまとわり付く。
今さらクラクラし、傷口がズキンズキンした。
アドレナリンが出ていたのだろう、病院に辿り着く迄はあまり痛みは感じ無かった。

『喧嘩か、感心し無いね、見せてみなさい、ああ、これは大丈夫、痕には残ら無いよ、中に入りなさい、烏龍茶出すよ』

早坂先生がガラス製の扉を開いて中に促した。
外来患者は誰独り居無い様子だ。
静かな院内、早坂先生が額にCDの様なアーカイブスを装着し咳払いしながらドクターチェアーに深く腰掛けた。

『一体どちらから手を出したの?』

『そんなん関係あらへんがな』
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