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人魚島
第4章 咲子の村案内
湿度が高く身体にシャツが貼り付く。
雷がバリバリ頭上で鳴った。
避雷針にパラッと乾いた音を鳴らしながら落雷が落ちた。
一雨来そうな雰囲気に狼狽えて狼狽した。
咲子がキーを器用に人差し指に引っ掛けてクルクル回しながらスキップしながら駆け寄って来る。
それを抱き止めながらもつれ合いながら原付に股がった瞬間雨が予告無く落下して来た。
『わぁッ!来たけんッ!』咲子が喚く。
僕等は屋根のある場所を求めて原付を走らせた。
ツーストロークの甲高い音に打ち消される雷雨の音。
『祠行くけん、海岸沿い目指すけんなッ』咲子が叫ぶ。
仕方無く右折し、砂埃を上げながら半ば無理矢理砂浜を横切った。
よろめきつつ両足で踏ん張り前にゆっくり進む。
きっとマフラー内部は砂まみれに違い無い。
橘さんには悪かったが。

『祠が見えて来るけん、目ぇ凝らしてやッ?』

『解ったよ』

僕はコンタクトレンズの目を凝らして海岸線を見詰めた。
海岸線50メートル地点に何やらブイが丸く8つ程浮かび注連縄が縛ってあった。
物々しく仰々しく神々しく生々しく浮かんでいる。

『あれかなッ?』

僕が指差しとすかさず咲子が黒く長い髪の毛をはためかせながら頷いた。

『八神様だ』

『八神様?』

『そうだ、小魚の群れを模した神様で豊作と武運の神様だッ』

咲子が更にフルスロットルさせエンジンを唸らせた。
砂埃が舞い雨が落下する。
ビチャビチャに濡れて冷たい。
少し寒い。
肌寒さを感じながら震えながら咲子にしがみ付いた。

『早く満ち潮になっちゃうけん、ホタルイカの群れを追うんだッ!』

海岸線には爛々とランプを灯した小振りだったり大振りだったりする白い船がランプを掲げながらユラユラ大波に揺れていた。

『ブラジャーに迄染み込んで寒いけん、早く行こうッ』

咲子が急かしフルスロットルする。
砂埃を撒き散らしながら加速する原付。
砂埃が思わず目に入った。

『ああ、いてぇッ!』

『大丈夫?』

『うんッ』

みるみる内に浅瀬に辿り着いた。
小さな熱帯魚が水面にユラユラ群れを成している。
それを目で追いながらホタルイカが光る中導かれる様に前に進み原付を停めて歩き始めた。
咲子のサンダルがパシャパシャ鳴る。
僕のスニーカーがキュッキュッ鳴る。
手を繋ぎながらゆっくり濡れながら前進した。

『雨宿りが必要やなぁ…』

咲子が呟く。
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