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人魚島
第4章 咲子の村案内
黒い大振りなコウモリ傘と咲子のピンク色の花柄の傘を手に庭園を横切り駐車場に出る。
斜めに停まった軽トラの荷台に傘をさしながらしゃがみこめばバックミラー越しに橘さんが目配せしニヤリとする。
そのままゆっくり徐行しながら魚沼家を出発し、三咲さんの店スナックマーメイドを横切り漁港にやって来る。
駄菓子屋はまだ開いていて、酔っぱらいの漁師達が軒先でスルメをかじりながらカップの日本酒を呷っていた。

『よぅ、ジジィ共』

橘さんが軽トラから降りて漁師達の輪に混ざる。

『なんだタカ坊か、久しぶりやな、元気しとったんか?相変わらず三咲ちゃん独り占めか?』

『ハハハ…そうなるな、どれ三咲の為に酒の肴でも買って行くか』

店内に入り数珠の暖簾をくぐる橘さんとすれ違いに禅さんと敦さんが缶ビール片手にホロ酔いでやって来た。

『おう、春樹やんけ』

禅さんは綻ぶが敦さんは『チッ』と舌打ちしていた。

『どないしたんや?その絆創膏は?怪我したんか?まさか敦とやりおうたんか?アホたれ…敦は空手の黒帯、インターハイにも出てるねんぞ』

『なぁ、糞餓鬼ぃ』

敦さんが缶ビールをクシャッとしながら僕に詰め寄った。

『ようやってくれたな、ジャンプスーツ血塗れやけん、ほかしたわ』

『まぁ落ち着きよ敦』

禅さんが止めに入る。
敦さんはラークの箱をニッカパンツから取り出すと唇に咥えすぐさま火を付けた。
額に青筋が浮かんでいた。

『まぁ、敦等止めとけや』

橘さん率いる大人代表も敦さんを止める。
しかし、敦さんは止まら無かった。

『俺は咲子に惚れてる、やから手を引けや、よそ者』

『………』

『よさんか?みっともねぇ、後ガキは煙草吸うな』

橘さんが敦さんの手からラークを引ったくりラークの箱迄回収した。

『仲良くしろ、痛め付けるぞ?』

橘さんが指の関節を鳴らした。
途端身震いし『やってらんねぇよ』と漁港の暗闇にトボトボ歩いて消えて行く敦さん。

『あれで多少は懲りたやろ、まぁ、せいぜい仲良くするんやな、俺は三咲の店行くけん帰りは気を付けてな』

片手を上げて軽トラに乗り込む橘さんを見送り咲子が小さく『線香花火しよ?』と僕のTシャツの袖を軽く引っ張る。
『よし来た、用意してやるけん』と店の中に入る禅さん。
酔っぱらい達も千鳥足で漁港を横切って行く。
三人同時に線香花火の先端に火を付けた。
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