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偶然が運命にかわるとき
第5章 私が知らなかった彼

すると
”ガチャッ”
とトイレの片方が空いたので
「お先に失礼します。」
と私は彼が言った言葉に対しては
なんの反応もせずに対応した。
けれどそんなに簡単ではなかった。
トイレから出るとそこにはまだ
さっきの彼が立っていたのだ。
「おねーさん、お友達になってよ。
俺、西川 駿!おねーさんは?」
と手を掴んで聞いてきた。
「教えるわけないじゃん。」
その手を振り払おうとしたが
力は強く
「教えてくれたら離すから!」
と強引な取引をしてきた。
それでも私は負けじとその手を
振り払おうとしながら
「教えないし離して!」
と強く抵抗したその時。
西川と名乗る男より更に力強く
私の手を掴み間に入ってくる人…
神谷さんだ。
「嫌がってるのがわからないのか。
気安く触るんじゃねぇ。」
とても冷淡な口調で話す神谷さん。
この目はさっき私に見せた怖い顔より
何倍も怖く鋭い。
完全に男はその勢いに怯んだ。
「んだよっ、うぜぇ。」
そう言って西川と名乗る男は去っていった。
その背中を見えなくなるまで
神谷さんは睨み続けた。
そして私の方へと向きかえったので
私は怒られる覚悟で目を瞑り、俯く。
悪いことをして怒られる小学生のように。
けれど違った…

